"産後ケア"が抱える課題解決に向けて 気軽に利用できるサービスや画期的な施設が登場
産後ケアが抱える2大課題 "スピード感"と"2人目問題"
このような産後ケアのサービスの整備は進みつつありますが、取材の中で、課題も見えてきました。 ひとつ目が"スピード感"です。現在の産後ケアの制度では、サービスを利用するためには一度、申請用紙を自治体に提出することが必要となるため、"いま"使いたいのにタイムラグが発生してしまいます。育児に疲れている母親が役所に行くのも大変です。 そして、もうひとつの課題が"2人目"問題。産後ケアのサービスは、2人目が産まれた時に使おうと思うと、原則、通所や宿泊の施設に上の子と一緒には行けません。なぜなら、産後ケア施設の対象は生まれたての子どもと母親のみだからです。上の子は対象外となるため、託児所などに預けるか、他の家族に見てもらわなければいけないのです。 この2人目問題を解消しようと、塚田レディースクリニックでは地元NPOと協力して専門知識をもったスタッフを派遣してもらい、産後ケアに託児機能を追加。上の子も一緒に行けるようにしました。追加料金も利用者の収入などに合わせて無料~1000円程度と格安に設定されています。 こういったスピード感が自治体に求められているのです。
無料で誰でも利用できる! 専門知識をもったスタッフが常駐する子育て支援センター
そんな中、少し違う形のアプローチで支援に取り組む自治体がありました。 その場所は、岐阜県土岐市のイオンモール土岐。2階の少し奥まったところにある一見、よく見かける子供のプレイルームのような場所ですが、実はイオンモールと土岐市が連携してはじめた市内4か所目の子育て支援センター「ときめっく」なのです。 土岐市の子育て支援センターですが、市民に限らず、予約不要で誰でも利用できるため、利用者の約6割はお隣の多治見市や名古屋市から来ているそうです。利用は無料で、時間制限もありません。しかも、専門知識をもったスタッフが常駐していて、子どもと遊んでくれるだけでなく、子育てのアドバイスも受けられます。 実際に利用していた人に話を聞いてみると、「買い物ついでに来れるのでよく来ます。(専門知識をもったスタッフがいて)一人で考えなくていいからうれしい」「在宅ワークをしていて、ここでパソコン開いて仕事ができる。子どもをスタッフの人に見てもらいながら仕事しているので、週3とか週4で来ています」と好評。 ここでは、家族で参加できるイベントや、保育園やこども園に関する相談会なども行っていて、子育てについて幅広く情報収集ができることも魅力だと言います。また、週末はパパと子供を「ときめっく」で遊ばせ、ママは買い物やリフレッシュという家族も多いそうです。 課題はあるものの、様々な形で広まりつつある産後ケアサービス。まだ利用したことがない人は試しに使ってみても良いのではないでしょうか。