更年期の頭痛…実は「いつのまにか高血圧」の可能性が!【更年期症状と間違えやすい病気に要注意! ④】
更年期になると、卵巣機能の低下から女性ホルモンの分泌が減ることで、さまざまな症状が現れる。頭痛もそのひとつだ。頭痛は場合によってはとても危険な病が隠れていることがある。それはどんなことなのだろうか? 女性医学の専門医である小川真里子さんに伺った。
エストロゲンが減ると血管にも変化が起きます!
更年期に差しかかって、頭痛が起きるようになった…そんな人は少なくないのではないだろか? 「よくあるのが、頭の片側が波打つようにズキズキ痛み、光や音に敏感になる『片頭痛』や、頭全体を締めつけられるように痛む『緊張型頭痛』があります。これらは20代~30代から発症する人もいます。 実は、更年期の女性にこうした頭痛がよくみられる原因は、はっきりわかっていません。 一方で、片頭痛に関してはエストロゲンとの関連が考えられています。エストロゲンが変動することにより、脳の神経系における炎症性の物質が変化すること、エストロゲンレベルの低下がさまざまな頭痛と関連する物質に関与している可能性が示されています」 ところが、エストロゲンの減少による血管への影響はそれだけではない、と小川先生。
「血管の柔軟性が低下して、拡張がうまくいかなくなることで、いつのまにか高血圧になっているケースがあるのです。 実際にあった患者さんのケースでは、頭痛がするので年齢的にも更年期だと思い来院されました。検査の一環で久しぶりに血圧を測ったら、拡張期血圧が100mmHg~収縮期血圧が160mmHgもあったことがあります。以前はまったく正常値だったので、本人も驚いていました。その人はほかの更年期の症状がなかったので、高血圧をきちんと治療すると言って内科に行きました。 高血圧はエストロゲンの問題だけでなく、生活習慣や加齢による老化の影響もあると思います。30代くらいまでは無理をしたり、多少の不摂生も問題なく過ごせていた人も、その積み重ねにより、40歳を過ぎたあたりからさまざまな形で体に現れてきます。 健康意識が高く、食事や運動などに気をつけている人でも、測定したらいつのまにか血圧が上がっていた…という人は少なくありません。 血圧の測定は、更年期世代になったら年に一度の健診だけでなく、家庭血圧計を用意して毎日家で測る習慣をつけることをおすすめします。血圧は睡眠中、朝、昼、夜と一日のうちでも変動し、食事や感情の変化などの影響も受けて、つねに変動しています。そうした中で、家庭で朝の安静時に測る家庭血圧を把握することが最も大切です。 高血圧を放っておくと、さらに血管の柔軟性が失われ動脈硬化が進行して、心臓への負担が増大します。やがてそれが重度の心不全に発展したり、心筋梗塞や脳卒中といった命にかかわる疾患のリスクにもつながります。更年期世代から血圧をきちんと管理することが大切です」