年金繰下げで「月33万円」を受け取った<75歳夫婦>歓喜も一転、負担増で老後崩壊…「なにかの間違いでは?」
日本の公的年金制度。細かな決まりごとが多く、知っていると知らないでは、大きな差となることも珍しくはありません。今回は「年金の繰下げ受給」のデメリットについてみていきます。 【早見表】年金に頼らず「夫婦で100歳まで生きる」ための貯蓄額
老後、年金だけで暮らすことができますか?
厚生労働省の調査によると「収入が公的年金だけ」という高齢者世帯は44%。多くの高齢者が年金頼みの生活を送っています。そのため「できることなら年金だけで生活ができたらいいのに」と、誰もが願うでしょう。 厚生労働省『令和4年度厚生年金保険・国民年金事業の概況』によると、国民年金の老齢年金受給者の平均年金月額は5万6,428円。また基礎のみ、共済なし・旧国年の老齢年金受給者の平均年金月額は5万1,607円。また厚生年金保険(第1号)の老齢給付の受給者の平均年金月額は、併給の老齢基礎年金を含めて老齢年金が14万4,982円。65歳以上の受給権者の平均年金月額は、男性が16万7,388円、女性が10万9,165円です。実際の手取り額は額面の85~90%。厚生年金受給者であれば、男性は14.2万~15.0万円、女性は9.2万~9.8万円程度になります。 一方、毎月の支出はどれくらいになるのか、総務省『家計調査 家計収支編』(2023年平均)で確認してみましょう。65歳以上の夫婦のみ世帯の1ヵ月の生活費は25万0,959円。平均的な元会社員夫婦の場合、年金収入だけでは毎月1万~1.5万円程度の赤字になる計算です。その分は貯蓄から取り崩して対応することが求められます。 【65歳以上夫婦のみ世帯の月生活費】 ●消費支出…25万0,959円 (内訳) ・食料…72,930円 ・住居…16,827円 ・光熱・水道…22,422円 ・家具・家事用品…10,477円 ・被服及び履物…5,159円 ・保健医療…16,879円 ・交通・通信…30,729円 ・教育…5円 ・教養娯楽…24,690円 ・その他の消費支出…50,839円 長生きすればするほど目に見えて減っていく貯蓄に不安感を覚えることでしょう。「できるだけ貯蓄に手をつけるタイミングを先延ばしにしたい」、つまり資産寿命を延ばしたいという思いからから、働く高齢者は増えているのかもしれません。 総務省『労働力調査』によると、原則公的年金がもらえるようになる65歳以上の就業率は25.2%。「65~69歳」では50.8%、「70~74歳」では33.5%、「75歳以上」で11.0%と、いまや70代になっても3人に1人は働いています。