戦没者追悼式 記憶継承「遺族の使命」 安斎さん(福島市)追悼の辞 教訓、若い世代に
早いもので、先の大戦が終わりを告げてから79年の歳月が流れました。私たち遺族も高齢となり、あの悲惨な戦争の悲劇の記憶も、薄れゆく今日にあって、国のため戦場に赴き、無念にも散華された戦没者の皆さまを忘れることはありません。 父は、昭和18年に私が5歳、弟が1歳、そして、母が25歳の時に出征し、その年の11月に中国で戦病死しました。その後の母の苦労は並大抵のものではなく、ただ、がむしゃらに農作業に働く一方、遺族会活動を通じ、同じ境遇の人々と励まし合いながら、家族を守り抜き94歳の天寿を全うしました。ただただ、感謝の言葉しかありません。 今日の平和と繁栄は、戦没者の皆さまの尊い犠牲の上に築かれたものであり、国の礎となられたその尊い行いを、多くの国民に知っていただき、感謝の気持ちを寄せていただきたいと思います。 平和の大切さは、私たち遺族が身に染みて知っております。世界では、今なお戦争が絶えることがなく、多くの戦争犠牲者が出ており、一日も早く平和が実現することを祈るばかりです。
私たち遺族は、戦争の悲惨さと平和の大切さを、今こそ、語り継いでいかなければなりません。記憶の薄れゆく今日にあって、教訓を伝えていく機会が失われつつある現在、語り部として、子・孫へと継承していくことが大切であり、遺族の使命でもあります。 本日は、多くのご来賓の参列のもと、かくも厳粛に追悼式を挙行していただき、遺族を代表し心から感謝を申し上げます。 結びに、ご英霊のご冥福とご参列の皆さまのご健勝とご多幸を心からお祈りし追悼の言葉といたします。 ■田村市遺族会長の鈴木さん 献花、不戦の誓い新た 田村市遺族会長の鈴木正一さん(84)は福島県の遺族を代表して献花した。終戦間際の1945(昭和20)年6月に中国・上海で戦死した父今朝元(けさもと)さん=当時(33)=を思い、不戦の誓いを新たにした。 田村市船引町にある平和祈念資料展示室には遺族から提供された戦没者の遺品などを展示している。鈴木さんは開設に携わり、事前の連絡があれば案内役も務めているという。「戦争について学んで戦争反対を唱えてほしい。語り継ぐことが難しくなっている中で、遺品などを見ながら語り合うことも継承の形になる」と話した。
■郡山の先崎さんは青少年代表で献花 追悼式では、郡山学院高等専修学校2年の先崎天翔(つばさ)さん(17)=郡山市=が青少年献花者の北海道・東北ブロック代表で献花した。