やめておけばよかった…勤続38年・60歳の中小企業サラリーマン、「退職金1,000万円と貯蓄300万円」で「住宅ローン完済」も、10年後思い知る過ち
長いお勤めの末に手にする退職金。大切な老後資金の一部ですが、「退職金で住宅ローンを完済」と考えている人も多いようです。返済負担から解放され、「よし、これから資産形成だ」と頑張っても、そううまくいく話ばかりではありません。 【早見表】3,000万円30年返済の住宅ローン…金利差による利息分
70歳の予定を10年早めて…60歳定年で住宅ローン完済
今年、70歳になるという中嶋昭さん(仮名)。ちょうど10年前、60歳で定年を迎えたときの決断を悔やんでいるといいます。 ――30代の半ばで家を買いました。35年ローンで、完済予定はちょうど70歳 ――でも定年後は収入が減るじゃないですか。住宅ローンの返済を続けていくのは大変だと思い、思い切って退職金と貯金を合わせて、ローンを完済したんです 当時は住宅ローン金利がいまのように安いときではなく、「4%か、5%か、それくらいだったと思います」と中嶋さん。3,000万円を借りて、毎月の返済額は13.2万円程度。60歳の定年時には1,300万円ほどの残債がありました。中嶋さんが勤めていたのは都内の中小企業。転職して2社目の会社でしたが、勤続は35年を超えていました。退職金は1,000万円程度。このとき預貯金は700万円ほどあったといいますが、そこからも取り崩して住宅ローンを完済します。 東京都産業労働局『中小企業の賃金・退職金事情(令和4年版)』でモデル退職金(学校を卒業してすぐ入社した人が普通の能力と成績で勤務した場合の退職金水準)をみていくと、定年退職の場合、高校卒で994.0万円。月収換算で23.2ヵ月分。つまり直近の月収は42.8万円だったということです。大学卒では1,091.8万円と1,000万円超え。月収換算で22.8ヵ月分。つまり直近の月収は47.8万円。 【勤続年数別「東京都中小企業・会社都合の場合の退職金」】 ■高校卒 勤続10年…122.3万円 勤続15年…214.8万円 勤続20年…328.4万円 勤続25年…465.6万円 勤続30年…604.6万円 ■大学卒 勤続10年…149.8万円 勤続15年…265.8万円 勤続20年…414.7万円 勤続25年…578.2万円 勤続30年…754.2万円 ――毎月のローン負担はやっぱり大きく……ゼロになったときはすごい解放感でした 中嶋さん、60歳で住宅ローンを返し終わったときの気持ちを振り返ります。
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