100勝、金子が追い求める27球アウトの投手像
オリックスの金子千尋投手(32)が20日のロッテ戦で7回5安打2失点8奪三振の内容で今季3勝目、プロ通算100勝利を達成した。 「監督、コーチ、チームメート、いろんな方に支えられてここまできた。プロに入って怪我をして100勝もできるとは思っていなかったし、自分だけでは100勝はできなかった」 今季は開幕から約1か月間、勝てずに苦しんだが、ここにきて3勝2敗と勝ち負けが逆転。蘇ったエースにふさわしい金字塔が記録された。初勝利は2006年8月9日の西武戦での救援勝利。足かけ10年で積み上げた100勝は、プロ通算133人目だが、現役では9人目。オリックスでは星野伸之氏、以来、23年ぶりとなる。添付した表を見てもらうとわかるが、現役の100勝利以上投手で、通算防御率の2.77はトップ。勝率も.641で、巨人の杉内俊哉の.648に次ぐ2位の記録である(和田、松坂は日米通算で換算)。優勝経験のない金子が、この高い勝率をマークしているのは特筆すべき部分だろう。 金子にじっくりとピッチング論を聞いたことがある。彼の究極のピッチングとは、「27球で終わること」である。つまり一人一球必殺のピッチングで、三振より凡打、フライよりもゴロをピッチング哲学としている。 「いかに少ない球数で投げ切ることができるか。とにかくリズムを考え、野手が攻撃集中できるように守りの時間を短くしたい。だから三振はいらない。アウトにするならフライよりゴロ。フライはホームランになる可能性があり、一人で1点になるが、ゴロなら極端に言えば、3人にヒットを打たれても満塁。状況に応じてフライを打たせようと狙う球種もあるが、基本はフライや三振よりもゴロの山を築きたい」 ちなみに記念すべき100勝目は、21個のアウトのうち三振が8個、ゴロアウトが6個だった。 そのピッチングスタイルの特徴は、7色の変化球である。どのボールでもストライクを取れ、ウイニングショットにも使える。いわゆるカウント球と勝負球の区別がない。つまり相手打者は、何を狙うかの絞り球が決めきれないのである。