Suica離れで「交通系ICカード」のオワコン化が加速する!?
――確かに都市部の地下鉄やバスだと交通系ICだけでなく、クレジットカードのタッチ決済でも乗車できますね。 宮武 クレジットカードには非接触決済関連の世界的な標準規格「NFC TypeA/B」が搭載されています。これは、ほぼすべてのスマホやスマートウオッチにも搭載される規格で、多くの企業が部品や関連機器の製造を行なっており、導入・運用コストが低いのが特徴です。 それもあって決済だけでなく、鉄道会社などにも採用が増えてきました。クレジットカードでの乗車は31都道府県で108社が採用するほどに拡大しています。こういった面もSuica離れといえるでしょう。 ――でも、交通系ICカードには改札での高速処理や、チャージ式で子供でも利用可というメリットもあるのでは? 宮武 改札の高速処理をアピールして海外にも売り込みましたが、実はこの速度が生かされるのは新宿や東京など超巨大ターミナル駅のラッシュ時のみ。海外や国内の地方の駅ではオーバースペックだったのです。 過剰な性能、導入・運用費の高さもあってFeliCa搭載の交通系ICカードは世界標準となりませんでした。そして子供でも利用できるプリペイド式のクレジットカードもあり"誰でも使える電子マネー"というメリットも消滅しています。 ――Suicaをはじめとする交通系ICカードはオワコン化が加速する? 宮武 iPhoneがFeliCa搭載をやめた場合はかなり厳しいでしょう。Andoroid勢も追随するとスマホで使える交通系ICカードアプリは完全消滅します。 一方、JR東日本は同社のクレジットカードである「ビューカード(一般利用者向け)」を11月のリニューアルで、ひっそりとタッチ決済と乗車に対応させました。 そして、試験的にJR九州もクレジットカードでの乗車に対応しています。公式なリリースはありませんが、JR各社は今後、交通系ICカードとクレジットカードでのタッチ乗車の両面での運用も考えているのかもしれません。 ――思いのほかガラパゴスだった交通系ICカード界隈。より便利でクーポン特盛りの新サービスに期待したいです! 取材・文/直井裕太 写真/宮武和多哉