テニスのナダル、現役を引退 全仏で史上最多14回優勝の「クレーの王者」
テニス男子のラファエル・ナダル(38、スペイン)が19日、スペイン・マラガで開かれた国別対抗戦デヴィスカップで輝かしいキャリアを終えた。チームの一員だったスペインがオランダに敗れた。 ナダルは4大大会(グランドスラム)シングルスで、22回の優勝を果たした。長年のライバルだったノヴァク・ジョコヴィッチ(セルビア)に次ぐ、男子歴代2位の記録となっている。 「クレー(赤土)の王者」と呼ばれ、全仏オープンのシングルスでは史上最多の14回の優勝を重ねた。4大大会の一つのシングルスでこれほど多く優勝した選手は、他にいない。全仏では通算116試合を戦い、112試合で勝利した。 ナダルは先月、デヴィスカップがキャリア最後の大会になると発表していた。 この日、満員の観衆の前でオランダとの準々決勝に臨んだナダルは、第1試合のシングルスでボティク・ファン・デ・ザンスフルプと対戦。代名詞のフォアハンドの鋭いショットを決める場面もたびたびあったが、4-6、4-6で敗れた。 スペインは第2試合のシングルスでカルロス・アルカラスが勝ったが、続くダブルスで敗退。1勝2敗でオランダに負けた。 ■「この瞬間を迎えたくなかった」 試合後、1万1500人収容の会場では「ラファ、ラファ、ラファ」の合唱が起こった。ナダルがステージの中央に立つと、観客は総立ちで1分以上拍手を送った。観客席には妻と幼い息子、両親、妹もいた。 ナダルは「20年間のプロとしてのキャリアで、良い時も悪い時もプレーを続けるよう、みなさんが背中を押してくれた」と観衆に話した。 そして、「本当はこの瞬間を迎えたくなかった。テニスをプレーすることに飽きたわけではないが、体がもうプレーしたがらない。そのことを受け入れなくてはならない。長い間、趣味を仕事にしてこられたことを、とても光栄に思っている」と述べた。 スペイン語で心のこもったスピーチを終えると、照明が落とされ、スポットライトがナダルを取り囲んだ。ナダルはしばらくの間、コートを見つめ、涙をこらえながら唇をかんでいた。 続いて、ナダルのキャリアのハイライトと、スポーツ界のスーパースターたちからの個人的なメッセージが、ビデオで紹介された。テニスのロジャー・フェデラー、ノヴァク・ジョコヴィッチ、セリーナ・ウィリアムズ、アンディ・マリー、サッカーのデイヴィッド・ベッカム、アンドレス・イニエスタ、ゴルフのセルヒオ・ガルシアの各氏らが登場した。 再び拍手が沸き起こるなか、ナダルはプロ選手として最後の投げキスをしながらコートを去った。 ナダルは全米オープンでも4回、全豪オープンとウィンブルドンでも2回ずつ、シングルスで優勝している。 オリンピックでは、シングルスとダブルスの両方で金メダルを獲得。デヴィスカップではスペインの4回の優勝(直近では2019年)に貢献した。 (英語記事 Retiring Nadal's career over after Spain's Davis Cup defeat
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