「せっかちすぎてミス」発達障害の人が抱く焦燥感、大切なのは「時間の感覚が違う人」に合わせること
「なぜかいつも周りの人とやることがズレてしまう」「簡単そうに思える意思の疎通ができない」など、さまざまな場面で困りごとを引き起こしてしまう発達障害ですが、その原因について、精神科医の岩瀬利郎氏は「定型発達の人と見えている世界が違うから」だと指摘します。 ではいったい、発達障害を抱えている人の見えている世界とはどういうものなのでしょうか。岩瀬氏の著書『マンガでよくわかる! 発達障害の人が見ている世界』から一部を抜粋・再編集して解説します。 【マンガでわかる】焦る気持ちを抑えきれず、仕事でミスをしてしまう発達障害の例
■みんなと「同じようにできない自分」に困っている 多動性・衝動性の傾向が強く、常にウロウロ・ソワソワと動いてしまったり、注意が次から次へと別のものに移ってしまったりしがちなADHD(注意欠如・多動症)の人。 DCD(発達性協調運動症)を持っているため、手に持った物をすぐに落として壊してしまったり、人に合わせた運動や行動が苦手だったりする人。 その他にも、感覚過敏、注意散漫、強いこだわり、新奇追求性など原因はさまざまですが、発達障害の人は、失敗やトラブルから周囲に心配をかけてしまったり、ときには怒らせてしまったりすることがあります。
こうした問題は、本人たちをますます窮地に追いやり、さらに大きなトラブルを招くという悪循環におちいる例も少なくありません。 まずは、発達障害の特性によって否応なく起こってしまっていることだと理解すること。そのうえで、適切なコミュニケーションをとることが大切です。 本人たちの特性をよく理解し、サポートしてあげられる第三者の存在が欠かせません。 ※外部配信先では図表を全部閲覧できない場合があります。その際は東洋経済オンライン内でお読みください
■結論を急ぎすぎ、イライラが抑えられない 会社員のYさん(38歳・男性)は、仕事でも、相手が電話に出るのが遅いとイライラ、メールの返信が遅いとイライラ。すぐに答えを求め、結論が出ない会議にもイライラ……。メールにも思いつきでぱっと返信をしてしまい、早とちりしてしまったり、逆に、説明を端折りすぎて理解されなかったりすることもあります。 「なぜ周りの人が悠長に構えていられるのかわかりません」と言うYさんのような人は、定型発達の人とは、“時間の感覚が違う”と考えてもよいでしょう。