米商務省が日鉄に対する関税率引き上げ、不当廉売で-年次審査の一環
(ブルームバーグ): 米商務省は同国内でのダンピング(不当廉売)を理由に日本製鉄に対する関税率の引き上げを発表した。米4大鉄鋼メーカーが初めて苦情を申し立てた2016年以降、毎年行われている年次行政審査を受けた措置という。
連邦官報に掲載された内容によると、商務省は日鉄が22年10月から23年9月にかけて米国内で熱延鋼板を通常価格を下回る価格で販売したと暫定的に判断。ダンピングマージンを29%とした。
日鉄の熱延鋼板に対する関税率はこれまで1.39%だった。
これに先立ち、日鉄は18日、USスチール主要2拠点で働く全米鉄鋼労働組合(USW)の組合員への書簡で、141億ドル(約2兆2000億円)でのUSスチール買収を成立させる一環として、米国外で生産された鉄鋼は米国内に持ち込まないと約束した。
この約束は別の製品に関するものだが、日鉄はUSスチール買収を巡り対米外国投資委員会(CFIUS)の回答を待っているため、商務省の発表は同社にとってタイミングが悪いといえる。
ただ今回の措置は行政審査の一環であり、発表時期がCFIUSによる判断と関係している可能性は低いとみられる。
日鉄は電子メールで送付した発表文で、「輸入品が米国内産業に与える影響を評価・是正する上で、日鉄は常に米国の法制度を尊重してきた」とした上で「当社は米国の貿易救済法を完全に順守する慣行を続ける」と表明した。
原題:US Raises Import Tariff for Nippon Steel After Review (2)(抜粋)
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Joe Deaux