「長い間ご苦労様でした」30年以上活躍の測量船が退役 8・6豪雨災害では人命救助にも活躍 船長も万感の思い
鹿児島の第10管区海上保安本部で30年以上にわたり海図の作製に貢献してきた測量船「いそしお」が任期を終えた。本来の業務のみならず未曽有の災害では人命救助にも活躍。「解役式」では関係者が感謝の思いを伝えていた。 【画像】いそしお過去の画像をもっとみる
人命救助や映画出演も「いそしお」の実績
いそしおは全長21メートル、総トン数27トンの測量船。これまでに航行した距離は約31万5000km。実に地球8周分に相当する距離だ。主な任務は鹿児島や熊本、宮崎の管内各地で潮流や海流、海底の地形などを測量し海図を作成することだった。 しかし、いそしおの活躍は本来の業務にとどまらなかった。 1993年、就役して間もないいそしおを待っていたのは、8・6豪雨災害だった。死者、行方不明者49人という未曽有の大災害で、いそしおは人命救助に駆り出された。 2006年4月、種子島から指宿に向かっていた高速船が佐多岬沖で流木と衝突し、乗員・乗客全員が負傷した事故。いそしおは事故現場で、海域のデータ解析などを行った。 同じ2006年に公開された映画「LIMIT OF LOVE 海猿」。鹿児島を舞台に、伊藤英明さん演じる仙崎らがフェリー事故の救助にあたるというこの作品で、10管本部のほかの船とともに「いそしお」も撮影に協力した。余談だが、この作品に登場したニューススタジオは、当時鹿児島テレビで実際にニュースを放送していたスタジオが使われた。
30年の航海に幕!測量船「いそしお」感動の解役式
大きな故障もなく、様々な任務を全うしてきたいそしおだが、寄る年波には勝てず、2024年12月3日、任期を終えた。 ともに鹿児島の海で仕事をしてきた職員らが見守る中で行われた解役式。国旗と庁旗が降ろされ、出席者が敬礼をして、30年余りの労をねぎらった。 上田平由一船長は「相当な“おばあちゃん”(の船)になると思うが、先輩方が丁寧に使ってくれたおかげでこんなに長い間活躍したと思う。最後は『ご苦労様でした』と声をかけながら船尾に酒をかけた」と語った。 10管本部には年内にも、後任の「さくらひびき」が就役予定。いそしおは現役を退いても、その活躍の足跡が消えることはない。 (鹿児島テレビ)
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