「なぜ自分が」と疑問も…元プロが伝えた「No.1」 菊池涼介の背中追う“逸材女子”
俊敏は守備で二塁を担う竹坂みずさ選手は広島ジュニア初の女子選手
26日に開幕する「NPB12球団ジュニアトーナメント KONAMI CUP 2024 ~第20回記念大会~」で、広島東洋カープジュニアは、球団OBの天谷宗一郎監督のもと上位進出を目指す。20回目を迎えるジュニアトーナメントに臨むにあたり、広島ジュニアは初めて選考対象を中国5県に拡大。広島県外のチームに所属する選手も加えた16人が、虎視眈々と頂点を狙っている。 【動画】力のある送球とボールさばきが身に付く 名門女子野球部名物「ワンバウンドボール回し」 選考対象を拡大したことのほか、もう1つ“初の試み”がチーム編成に表れている。選ばれた16人の中に女子選手が1人いる。小学6年の竹坂みずさ選手(6年=可愛フェニックス)は、天谷監督が「内野手で1番うまい。守備の実力は申し分ない」と、そのポテンシャルを絶賛する名手で広島ジュニア初の女子選手だ。 女性ならではのしなやかで俊敏な動きと、華麗なグラブさばき。小柄だが守備センスは抜群だ。特に目を引くのは打球への反応スピード。所属チームでは投手や遊撃をこなすが、広島ジュニアでは二塁を守る。広島の二塁手としてゴールデン・グラブ賞を10度受賞した菊池涼介内野手を目標に練習に励んでいる。 「心がけているのは1球1球集中して打球に向かうこと。守備には自信があります」と竹坂さん。堅実な守りの礎になっているのは、毎日欠かさず続けてきた父親との練習。積み重ねてきた努力が、自信につながり、周囲の期待も生んでいる。
不思議だった選出…指揮官が伝えた「守備はナンバーワン」
メンバーに選ばれた直後は、なぜ自分が16人に入れたのか疑問に思うこともあったという。そんな竹坂さんに天谷監督は「守備はナンバーワンだと思っている」と選出理由を伝えた。「自分がこのチームで1番うまいんだと、堂々とプレーしてくれればいいと話しました」と振り返る。 指揮官は現役時代、二塁・菊池と右翼・鈴木誠也外野手(現カブス)が守備でチームを救う場面を何度も見てきた。だからこそ、二塁と右翼が果たす重要性を認識している。「選手を選ぶ際、この2つのポジションは大事にしています。特に二塁は、菊池の影響もあってか年々重要なポジションになっていると思っています」。 パワーでは男子に敵わない。速球への対応など課題があることは指揮官も理解しているが、「そういった部分も補ってくれる“強み”を持った一芸に秀でた選手です」と竹坂さんに期待をかける。1点を争う試合終盤、勝利を手繰り寄せるための守備の切り札としての起用も目論んでいる。 「今年はバランスのとれたチーム構成です。カープ(1軍)のように、全員野球で勝利をもぎとっていければと思います。練習に行くたびに選手が成長しているので、大会でどんな飛躍を見せてくれるか楽しみです」と天谷監督。大きな可能性を秘めた16人の選手が、全国の舞台で見せる戦いに注目したい。
真田一平 / Ippei Sanada