【G1最前線・BC編】1番枠に「最悪です」思いも…フォーエバーヤングは試練乗り越える!
<ブリーダーズカップG1最前線(2)> 【デルマー(米国)10月28日=松田直樹】試練の最内枠から偉業を目指す-。 米国競馬の祭典、ブリーダーズCの枠順が現地時間28日に決まった。米国再挑戦のケンタッキーダービー3着馬フォーエバーヤング(牡3、矢作)は、好走馬の少ない1番枠からダート界の挑戦を見据える。「BC最前線」を担当する松田直樹記者は米国到着したその足で、枠順抽選会が行われたデルマー競馬場に直行。逆境に立ち向かう陣営の姿に心打たれた。 ◇ ◇ ◇ やっとの思いで米国に着いた。羽田から3つの飛行機を乗り継いでサンディエゴに来た。ロサンゼルスでは入国審査の管理官にこう言われた。「なんでこんなに遠回りするんだ?」。だって安い航空券確保は大事。経費削減も仕事です。 今年も来年もブリーダーズCの開催地はデルマー競馬場。21年に矢作厩舎のマルシュロレーヌとラヴズオンリーユーでBC2勝を挙げた地だ。空港到着後、30キロ強の距離を爆速で車で駆け抜け、間に合った。到着と同時に始まったのがBCクラシックの枠順抽選。1、2、6、8、11、13枠が残る9頭目、ケンタッキーダービー3着馬フォーエバーヤングが1番枠に入ることがアナウンスされた。 まるで言霊のような最内枠だ。抽選前に矢作師はスタッフと23年サウジCのパンサラッサを思い出していた。「パンサラッサの時は外枠希望だと言って、最内になった。冗談でまた1枠かなと話したら、本当に1枠になりました。厳しい枠」。懸念は現実となった。 試練は乗り越えるためにある。矢作師は「最悪です」と率直な思いを明かしたが、「それでも決まった枠でやるしかない」と気持ちを新たにした。そのパンサラッサは最内から猛烈な逃げで世界最高賞金レースのサウジCを制した。BCクラシックは過去10年で最内枠は18年サンダースノー、22年テイバの3着が最高で、過去2回のデルマー開催では5着同着と7着まで。馬群に包まれる心配のある枠だが、前走JDC圧勝で逆境を乗り越えられるだけのパフォーマンスは見せた。 米国入り後は良化の道をたどる。矢作師は「いつも輸送をするとちょっと落ちるが、そこから順調に回復してくれた」と決戦に向けた状態の良さをアピール。28日朝の調教にもまたがった坂井騎手も「与えられた枠で頑張るしかない。順調にきていると思います」と好感触をつかんでいる。同馬は29日に最終追い切りを行う予定。前だけを見て、歴史的偉業に挑む。(つづく)