「絶対に勝つんだ」…“定位置”からの脱却狙う福岡U-18、聖和学園から逃げ切り成功でプレミアPO2回戦へ!!
[12.6 高円宮杯プレミアリーグプレーオフ1回戦 福岡U-18 3-1 聖和学園高 サンフレッチェビレッジ広島第一球技場] 【写真】「三笘クリアさんだ」「メンバーやべえ」…なでしこ5人衆&三笘妻のオフショット 高円宮杯 JFA U-18サッカープレミアリーグ 2025参入を懸けたプレーオフ(広島)が6日に開幕。アビスパ福岡U-18(九州1/福岡)と聖和学園高(東北2/宮城)が対戦したCブロック1回戦はMF中村環太(2年)の先制点を皮切りに得点を重ねた福岡U-18が3-1で勝利した。 2011年の創設時にプレミアリーグに名を連ねていた福岡U-18だが、2度目の降格を味わった2019年以降はプリンスリーグ九州1部が定位置となっていた。そのためプレミアリーグPOにかける意気込みは強い。「久しぶりに上がるチャンスだったので絶対に勝って、後輩たちには今よりも高いレベルでプレーしてほしかった。なので、絶対に勝つんだという気持ちで挑みました」。そう話すのはFW前田一翔(3年)だ。 ただ、技巧派ドリブラーを多数揃える聖和学園との対戦は決して楽ではない。前半3分には左を抜け出したMF安原知希(3年)がゴール前にクロスを入れ、こぼれ球を自らがシュート。9分にはMF中村柊真(3年)が一人で左からシュートまで持ち込むなど試合序盤は聖和学園が押し込む時間帯が続いた。 「初戦だったのでみんな動きが硬く、いつもより1歩目が出なかった」と前田一は振り返るが、今年の福岡U-18は苦しい流れをひっくり返せる前田一とFWサニブラウン・アブデルハナン(3年)というトップチーム昇格が決まっている2トップの存在がいるのは心強い。「うちは2トップが強み。間延びしたとしても一発でカウンターというサッカーもできる。どちらかというと攻撃は相手にある程度やらせた上で、抑えるところは抑えようと割り切った上で2トップの良さを生かせる」(久永辰徳監督)。 前半15分に訪れた最初のチャンスはまさにそうした強みが出た場面だった。左前方に入れたラフなボールを前田一が自らのものにすると傍にいたフリーのサニブラウンへとパス。そこからゴール前に走り込んだ中村に預けて先制点が生まれた。 31分にはMF佐々木翼(3年)のパスをPA前で受けた安原に技ありなミドルシュートを決められて聖和学園に追い付かれたが、39分にはMF武本匠平(1年)が持ち前のスピードを生かした突破から左CKを獲得。ゴール前に上げたボールをDF池田獅大(3年)が頭で合わせて、2点目をマークした。 リードした状態で試合を折り返せた意味は大きい。「前半終盤にセットプレーで取れたのが、ゲームプランを立て直す意味でも大きかった。選手が思い切ってできた」。そう振り返るのは久永監督で、後半はより相手にボールを持たれる時間が増えたが、落ち着いてゴール前での仕事をさせずに試合を進めていく。 それでもPA脇を突かれる場面が増えると20分にはDF吉松優人(3年)を投入し、4バックから5バックにシステムチェンジ。サイドでかわされても中の3人がカバーに入る逃げ切り策はプリンスリーグ九州で何度も経験しており、選手たちは慣れていたという。 追加点を与えず試合を進めていくと、31分には池田がゴール前にループパスを展開。サニブラウンが落としたボールに反応したのは、「個人的に身体が動いていなかったし、点の取れる場所にいなかった」とここまでのプレーを振り返る前田一。この場面では持ち味であるゴール前の嗅覚を発揮し、GKの手前でボールに触って3点目をたたき出した。試合はそのまま3-1で福岡U-18が勝利し、岡山学芸館高(中国1)と対戦する2回戦に駒を進めた。 この1年、選手たちが目標にしてきたプレミア昇格まであと1勝。「次は自分たち3年生にとって最後の公式戦なので勝って終わりたい。後輩たちの次に繋げられる勝利を掴むために頑張りたい」。そう意気込むのは前田一で、後輩や保護者、サポーターに最高のプレゼントを贈るつもりでいる。 (取材・文 森田将義)