難関校の入試問題「どうして月がついてくるのか」を解ける子になるために必要な幼少期の「感覚の記憶」
子どもたちが先の見えない時代を生き抜くために、専門的な力を身に付けさせたい。そういった思いから「子どもを理系にしたい」という親が増えている気がします。確かに、どんなにテクノロジーが進んだ社会になっても変わらず求められるのは、テクノロジーそのものを生み出し、その真価を前へ推し進める知性でしょう。単位学力が高いだけでなく、目標に向かう方法や問題解決手段を自分で考える力があるか、努力する活力がありそれを持続させることができるかということが重要になります。 先取り学習や繰り返しのドリル学習では本物の理系力は身に付きません。大切なのは「数の感覚」や「理系的なものへの好奇心」をどう育てていくかです。本コラムでは、子どもを理系に育てる具体的な方法をお伝えしていきたいと思います。 【図解】「感覚の記憶」が理系力には欠かせない *本記事は『理系が得意になる子の育て方』(西村則康・辻義夫、ウェッジ)の一部を抜粋したものです。
「風が吹いてるね」と声をかけるだけでいい
算数の図形認識に役立つ外遊びは、将来の理科の学習のためにも欠かせないものです。外にいると、たとえば、強い風が吹いているときと弱い風のときでは、公園の樹木の枝葉の揺れ具合が違うことや、風向きによって枝の動きが変わることなどに気づきやすくなります。 ただ、そのことを子どもが気づかなくても、目の前の自然現象について親御さんが理科的な知識を教えようとする必要はありません。「風が吹いてるね」「涼しくて気持ちいいなぁ」「なんかなまぬるくない?」と、風が体に当たる感覚をただ肌身で感じていればいいのです。 もしも、子どもが樹木の揺れに関心を示すようなら、「道路のほうから風が吹いているから木が揺れているんだね」と言ってあげるだけで十分です。どんな自然現象にも因果関係があることが、さりげなく伝わっていきます。 もちろん、子どもはこうした経験や親との会話を全部覚えているわけではありませんが、大きくなってふとしたときによみがえることがあります。