行政院、改正国会職権関連法の違憲審査と一時停止を請求 きのう施行/台湾
(台北中央社)26日に施行された改正国会職権関連法を巡り、行政院(内閣)は27日午後、違憲審査と法律の一時停止を司法院に申し立てた。司法院は法に定められた手続きにのっとって処理するとした。 総統の国情報告常態化や立法委員(国会議員)の調査権などを盛り込んだ立法院(国会)職権行使法の改正案と「国会軽視(議会侮辱)罪」を新設する刑法の改正案は、先月28日、最大野党の国民党と第3党の民衆党などの賛成多数で可決。その後行政院は条文が執行困難だと判断して立法院に審議のやり直しを求める「再議」案を閣議決定し、頼清徳(らいせいとく)総統の承認を得て、立法院に提出した。再議案は今月21日、立法院で野党の反対多数により否決され、立法院の当初の議決が維持されることが決まった。 行政院の陳世凱(ちんせいがい)報道官が27日の行政院院会(閣議)後に会見を開いた。陳氏によれば卓栄泰(たくえいたい)行政院長(首相)は閣議で、法律改正の手続きに重大かつ明らかな瑕疵(かし)があり、中華民国憲法第1条で定められている民主共和国の原則に抵触しているなどの問題があると言及。条文も、憲法にある権力分立の原則への違反が多くある他、法律の明確性や正当な法の手続きの原則、比例原則に違反しており、さらに人々の基本的な権利を侵害する状況にあるとした上で、憲法や憲法追加修正条文が構成する自由民主主義と立憲主義の秩序を守り、人々の基本的な権利を保障するために、行政院として違憲審査を請求する必要があると述べた。 さらに、憲法が保障する人権と公共の利益が取り返しのつかない損傷を受けることを防ぐため、憲法裁判所に対して違憲審査の請求と同時に法律の一時停止を申し立てるとした。またこれら憲法訴訟の申し立ては決して国会改革に反対するものではなく、合憲・合法な状態で国会改革が行われるのを望むものだとし、憲法裁判所の判決を通じて権力分立の立憲体制を守ると語った。 ▽民進党議員団も違憲審査など申し立て 与党・民進党立法院党団(議員団)の呉思瑤幹事長は26日、立法手続きにおいて重大かつ明らかな瑕疵があるなどの理由で、党団として違憲審査と法律の一時停止を申し立てたと話した。 違憲審査の申し立ては、憲法訴訟法により行政院などの国家最高機関に対して与えられている権利。立法委員は、総数の4分の1以上が法律が憲法に抵触していると認めている場合に違憲審査を申し立てられる。一時停止は違憲審査が行われるまでの暫定的な措置で、効力は最長で6カ月。 (林長順、頼于榛、王揚宇/編集:田中宏樹)