「秋だけのイメージ覆したい」 カボチャに魅せられ専門店を開業した宮本雅代さん TOKYOまち・ひと物語
1度目の契機は開店から4年ほど過ぎたころ、ハロウィンの文化が日本に定着したことだ。店にも多くの客が押し寄せ、カボチャスイーツを楽しんだ。雅代さんも「ほらね、って感じでしたよ」と得意げに語る。空前のハロウィンブームで自信をつけた夫婦は25年、カボチャスイーツ専門店として再スタートを切った。だが、ショートケーキやバナナのタルトなど、カボチャ以外のスイーツを目当てに来ていたお得意さまが離れ、再び冬の時代を迎えることになる。
2度目の転機は6年ほど前、あるインフルエンサーが来店し、SNS上で紹介して、話題になったことだ。翌日、店には長蛇の列。雅代さんは「インフルエンサーってすごいな」と驚きを隠せなかったという。今でも開店直後から客が訪れる人気店になり、待たせないよう対応に追われている。
■年中食べてほしい
カボチャスイーツ専門店の先駆けとなった雅代さんだが、悩みの種は尽きない。10月に偏っている売り上げをなんとか平準化したい。また国内のカボチャ消費量が減少傾向にあることにも頭を悩ませる。「スーパーに一年中売っているのに、食べられるのが秋だけなのは寂しい。『カボチャは秋』ってイメージを覆したい」
将来の夢は「カボチャのレシピ本の出版」だ。根底に、一人でも多くの人にカボチャを好きになってもらいたいという思いがある。「こういう作り方、食べ方があるんだよっていう考案をしたい。家でも作ってみてほしい」。カボチャの魅力を伝える雅代さんの戦いはこれからも続いていく。(宮崎秀太)