【三田友梨佳さん(37)】「フジテレビ退社の理由は結婚や出産だけではありません」|VERY
退職後、フリーになることへの不安を感じた時期
──フジテレビを退社し、生活は一変したと思うのですが、退職して感じたことや、フリーになって挑戦してみたいことを教えていただけますか。 産後は、ホルモンバランスの変化でちょっとしたことでメンタルが不安定になる時期がありますよね。会社員時代、やはり大きな組織に属している安定感があったのは事実で、退職後には、「この先私の仕事はどうなるんだろう」と不安になる瞬間はありました。子どもができて、改めて自分にとって仕事はこんなに大切なものだったのか、と実感しています。その一方で、フリーランスになるとこんなにも可能性が広がるんだな、と思うことも。 フジテレビでは報道番組で経済分野を担当する機会も多かったのですが、自分はまだまだ知識不足だと痛感していました。フリーランスになった今は、社会人が学べる大学のオンラインスクールなどで勉強を続けています。学び続ける気持ちを忘れず、いずれは経済分野に長けたアナウンサーを目指したいです。また、パリ五輪へ長期取材の機会があり、スポーツの面白さを改めて痛感。この秋からスポーツ番組のMCがスタートしたので、スポーツに関する知識をさらに増やしてアスリートの皆さんからぜひインタビューされたいと思っていただけるようなアナウンサーを目指したいです。
「言葉が出なくなっていた」私にイチローさんが教えてくれたこと
──アナウンサーとして仕事をするなかで、先輩や共演者から言われた言葉で印象に残っていることはありますか? イチローさんとお会いしたのは、現役を引退された翌年で47歳のとき。「引退した今でも、日々の積み重ねの中で新たな発見があるんですよ」という言葉はとても印象に残っています。引退後も毎日トレーニングを欠かさず、進化し続けるために努力を欠かさない姿は輝いて見えました。現在、私は37歳なのですが、10年後にそんなふうに言える自分でありたいと思います。また、イチローさんへの取材の際に「緊張することはありませんか?」とお尋ねしたら、「緊張しないと、いいパフォーマンスは出せないんですよ」と。「うまくやりたいって思うから緊張するのであって、それはむしろよいこと。緊張とうまく付き合うことのほうが大事だと思う」という話を聞かせてくださいました。当時、私は本番中に緊張すると舌が回らなくなり、それが怖くてもっと言葉が出なくなる……という悪循環に悩んでいました。イチローさんの話を聞いてからは緊張しそうな場面でも「よし、緊張しているから大丈夫」と客観的に自分を見られるようになりました。 また、別の取材でヒラリー・クリントンさんにお会いした際は、ご本人の器の大きさや包容力に驚きました。英語でのインタビューだったのですが、目で訴える力やオーラに圧倒されて、こちらの質問内容が真っ白に。私の英語は拙く、質問の仕方もあまりよくなかったと思うのですが、どんなことを聞いてもこちらの意図を汲んで、わかりやすく答えてくださって……。「難しいことほどわかりやすく伝える」ことは非常に難しいですが、私も少しでもそんな姿に近づきたいと思いました。