<TPP>食料自給率に2つの問題点/木暮太一のやさしいニュース解説
カロリーベースでは自給率39%
日本の食料自給率は、現在39%。TPPに加盟すると、これが27%まで落ちるという試算があります。ただし、これは「カロリーベース」での自給率です。 自給率の計算方法は2通りあります。 ひとつは「食べ物をお金に換算して計算する方法(毎日の食費のうち国産の食べ物を買っている割合)」です。世界的に採用されているのはこちらの計算方法です。そして、もうひとつは「食べ物を“カロリー”を基準にして計算する方法(毎日の食べ物のうち国産の食べ物でどれだけ栄養・カロリーを摂っているか)」です。 ―――「どちらにしても、もし外国から食べ物を買えなくなったら、給食が半分以下になっちゃうってことでしょ!?」 いえ、じつはそうではないんです。金額ベースの場合、日本の自給率は、約70%です。 危機感を抱くのは、カロリーベースで考えたときなのです。
餌の自給率も計算に入れる
ただ、このカロリーベースという計算方法には2つ問題点がありますので、そこを理解しなければいけません。 まずひとつ目の問題点は、このカロリーベースで計算した場合、エサの自給率も考慮されているということです。たとえば、日本で育った牛や豚でも、そのエサが外国産だったら、「日本産」として考えません。つまり、全部日本で育ったとしても、エサの半分を海外から輸入していたら「半分は外国産(自給率50%)」という計算になるのです。 ―――「え!? そうなの??」 たとえば、ぼくらが食べている卵は96%が「日本産」です。しかし、卵を産むニワトリのエサは、大部分を海外から輸入しているので、卵の自給率は、「9%」ということになります。単純に、摂取カロリーのうち、どれくらいが国産かではないのです。 「そのエサがなければ、卵は生まれない、だから日本で産まれた卵でも、自給率に入れない」という理屈なのです。 これはおかしいですね。 そのエサがなくても、別のエサがあったはずです。卵の質によほどこだわらなければ、ニワトリはどんなエサでもいいはずです。エサを外国から輸入しているからその卵は「自給していない」とするのは、現実問題としておかしいのです。