5-0で鹿児島準決勝突破も多くの課題。連覇のため、全国舞台で「強い神村学園」を見せるためにも全員で決勝を戦う
[5.24 インターハイ鹿児島県予選準決勝 樟南高 0-5 神村学園高 OSAKO YUYA stadium] 【写真】「何度見もした」「可愛すぎる」「惚れてしまう」仲田歩夢がピッチ外でもファン魅了 神村学園は全員で連覇を果たし、全国での飛躍へ――。令和6年度全国高校総体(インターハイ)鹿児島県予選準決勝が24日、南さつま市のOSAKO YUYA stadiumで開催され、神村学園高が7大会連続の全国大会出場に王手をかけた。神村学園は樟南高と対戦し、5-0で勝利。鹿児島城西高との決勝(25日)進出を決めた。 神村学園は、初戦からの3試合を24得点無失点。この日も立ち上がりからゴールへ迫り、先制に成功する。前半6分、左CKの流れから、日本高校選抜MF名和田我空(3年)が左中間でボールを持ち、縦への仕掛けからクロス。これをU-17日本高校選抜DF新垣陽盛(3年)が頭でゴールに叩き込んだ。 神村学園はさらに13分、MF松下永遠(3年)が右へさばき、U-17日本高校選抜候補の右WB大成健人(3年)が右足アウトで技ありの一撃。有村圭一郎監督も入りについては評価していたように、立ち上がりからプッシュしてリードを2点とした。 その後もU-17日本高校選抜MF福島和毅(2年)が得意のドリブルを活用しながらゲームメーク。U-17日本高校選抜候補FW日高元(2年)の右クロスから名和田が右足ダイレクトボレーを放ち、U-17日本高校選抜の左WB鈴木悠仁(3年)がカットインからシュートを打ち込む。 樟南は前からボールを奪いに行くものの、自然と押し下げられてしまっていた。それでも、テクニカルな10番MF城戸健成(3年)がDFラインにまで落ちてビルドアップに参加。19分にはテンポ良くボールを動かし、左SB手塚圭祐(3年)のクロスからFW田中祐志(3年)がヘディングシュートを放つ。 神村学園は2点目を挙げた後もチャンスを作るが、樟南はGK馬場結叶(3年)がファインセーブを見せたほか、奮闘の光ったCB新村司主将(3年)がゴール前でタイトな守備。神村学園の攻撃を止めるたびに、ゴール裏の応援団が大歓声でチームを勇気づけていた。 神村学園はこの日、新垣、DF黒木涼我(3年)、DF中野陽斗(2年)の3バックやGK江田優大(2年)を中心に無失点。だが、相手のサイド攻撃への対応が甘く、簡単にクロスを上げさせてしまう。後半2分、樟南は左CKから城戸が決定的なヘッド。また、手塚のクロスから得点機を作っていた。試合後、有村監督が「やるべきことをやらないとやられるぞ」と指摘したように、神村学園は攻守の切り替え、運動量の部分もまだまだ。シュート25本を放った攻撃面についても、引き締めなければならない内容だった。 神村学園は後半11分に名和田のスルーパスからMF佐々木悠太(2年)の折り返しを日高が右足ダイレクトで決めて3点目。17分には、精度の高いサイドチェンジを連発していた松下が右サイドへ展開し、右WBへ回っていた鈴木がグラウンダーのラストパスを狙う。これをファーの名和田が右足ダイレクトで決めて4-0。35分にも佐々木が豪快に左足で決めた。 結果として5得点を挙げたものの、課題も多かった。有村圭一郎監督が指摘するのは「決定機はあるけれど、決定力がない」という点だ。PA内側のポケットを取る形で完全に相手の守りを崩しながら、シュートをGKに当ててしまったほか、枠外へ外すシーンが多発。新垣も「取れたと言えば、取れたんですけど、もっと取れたんで。そこをもっとこだわっていかないと、やっぱり上に行って食われるんで、1本1本大事にしたい」と引き締める。 また、指揮官が「じっくり相手を見ることをしっかりとやれば」と苦言を呈したように、自分本位の動きで相手に合わされてしまい、チャンスをフイにするような場面も増えてしまっていた。名和田は危機感を口にする。 「こういう舞台になったからこそ、自分が活躍したいという気持ちがあると思うんですけれども、どういう形で出すということは考えないといけないと思うので。まずはチームのために、一人ひとり戦わないと明日(決勝)は勝てない。自分が1年の時、2年の時の経験を踏まえて伝えていきたいと思っています」 先発の半数以上が、年代別代表候補歴や高校選抜候補歴の持ち主だ。個性の強い集団だが、現時点での周囲からの評価は「まとまれば……」。プレミアリーグWESTでも7試合を終えて2勝1分4敗と、なかなか勝ち切ることができていない。主将はその集団をまとめて、「強い神村学園」を示す考えだ。「周りからも言われているんですけれども、それがまとまるかどうかは自分次第だと思いますし、自分たち次第だと思うので。まとまって、『強い神村学園を見せたい』という思いがあるので、全国の舞台でも勝てるようなチームになりたい」。また、松下が「神村の歴史を自分たちの代で止めるわけにはいかない」と語ったように、先輩たちが繋いできてくれたインターハイの連続出場を止める訳にはいかない。決勝では同じプレミアリーグ勢の鹿児島城西と対戦。全員でライバルを上回って連覇を果たし、全国舞台で「強い神村学園」を示す。