「遊女を花にたとえて…」2025年大河「蔦屋重三郎」が手がけた大ベストセラー「吉原遊廓ガイドブック」の「驚きの内容」
本日(1月5日)が初回放送の2025年大河ドラマ『べらぼう』。主人公は「江戸のメディア王」と言われた蔦屋重三郎。 【写真】大河ドラマの主人公・蔦屋重三郎が手がけた吉原遊廓ガイドブックの驚きの中身 その蔦屋が、遊郭で栄えた街として有名な吉原で生まれ、『吉原細見』をはじめとして吉原遊廓を紹介する本を数多く編集していることはご存知でしょうか? 『遊郭と日本人』の著者・田中優子さんが、蔦屋重三郎と吉原遊廓の「特別な関係」について解説します。
「不夜城」吉原遊廓の誕生
1657年の明暦の大火で人形町の元吉原遊廓が全焼すると、それをきっかけに幕府は浅草の田畑の真ん中に、平安京のような碁盤の目状の人工都市「新吉原遊廓」を作った。 夜になると暗闇の中に百目蝋燭で照らされた町が浮かび上がる。人はそこを「不夜城」と呼んだ。 やがて出版や浮世絵や諸々の文化の波は、参勤交代の武士たちとともに、上方から江戸に移っていく。その江戸文学の素材となり、歌舞伎の舞台となり、浮世絵のモデルとなり、創作者たちの交流の場となったのが、吉原遊廓と遊女であった。 江戸文化は結果的に、吉原遊廓無しには語れなくなった。その江戸文化の中核にいたのが、2025年大河ドラマの主人公である蔦屋重三郎である。 出版が江戸に中心を移しつつあった1750年、蔦屋重三郎は吉原に生まれた。そのころ吉原の人口は約1万人、遊女は約半数。つまり吉原に暮らす人の半分は遊女ではない。 さらに言えば、遊女は入れ替わりが激しい。遊女は家族(親兄弟)の困窮を救うために巨額の借金をし、それを返すために年季あるいは完済を条件に働きに来ているのである。無給で無休の出稼ぎだ。年季満了あるいは完済で去っていく。 長くいたら、通常の仕事と違って年齢と反比例に値段は下がるので、さらに借金をして下級遊女に落ちていく。睡眠不足と貧しい食生活と自由の無い日々である。多くの遊女が病気になるか、落ちていった。 大門を入ると仲の町という大通りがまっすぐ通っている。その道沿いに並ぶのが「茶屋」である。茶屋に遊女はいない。客が寄って食事をしたり着替えたり宴会をしたり遊女の迎えを待つ場所である。そこに男女の芸者も出入りする。茶屋の主人とその家族と従業員およびその家族も、この町に暮らす。 仲の町通りから横に入る左右6本の道沿いに妓楼が並ぶ。妓楼の主人とその家族と従業員もこの町に暮らしている。遊女は妓楼内で生活する。高位になると部屋持ちとなって個室があるが、たいていは共同部屋だ。 遊女のマネージメントをする女性の「やりて」の他、料理番、中居、掃除係、なんでもやる「若い者」と呼ばれる人々など、多くの人が働いている。