【巨人】メモリアルアーチは空砲も岸田行倫に乗り移った「熱男」の魂「与えられた役割で結果を」
<日本生命セ・パ交流戦:楽天7-6巨人>◇11日◇楽天モバイルパーク 巨人のメモリアルアーチは空砲に終わった。楽天戦で今季4度目のサヨナラ負けを喫した。2回2死一塁、岸田行倫捕手(27)が、ポンセから2号先制2ランを放ち、12球団最速となる球団通算1万1000号に到達。ルーキー泉口の2者連続となるプロ初本塁打、4回の丸の3ランと今季初の1試合3本塁打で最大4点差をつけたが、リリーフ陣が崩れ、今季ワーストタイの4連敗に沈んだ。 ◇ ◇ ◇ メモリアルな祝砲を伏兵のバットが打ち上げた。2回2死一塁。岸田が3球目の150キロ直球に快音を響かせた。両手に残る感触をかみしめながら、西日に照らされる左翼席に吸いこまれていく打球を見つめた。「特別な1本を打つことができてうれしい」。ベンチに戻って、節目の1発だと知った。 今季2号、通算5号のアーチが、プロ野球史上初の球団通算1万1000本塁打となった。6日ロッテ戦で大城卓が王手をかけてから3試合の足踏みを経て、たどり着いた節目だった。「結果的にそういう風になってよかった」と歴史に名を刻んだ。 熱き魂が乗り移ったのかもしれない。試合前、昨季まで巨人でプレーした「熱男」こと松田宣浩氏と再会した。昨年10月1日ヤクルト戦、熱男の引退試合で2号ソロを放ち、“代役熱男”のパフォーマンスを決めたのが岸田だった。当時の話で盛り上がり、気持ちを高め、ゲームに入った。昨季2本塁打のうち、もう1本は6月30日阪神戦の代打サヨナラ本塁打。「チャンスは多くない。与えられた役割で結果を」と自分に言い聞かせる。出場機会は限られるからこそ準備に悔いは残さない。その心得が、勝負強さを生む。 「スタメン50試合」を目標に掲げた今季。すでに24試合でスタメン出場を重ねる。3月には「今年は顔の方の調子もいい(笑い)。顔もしっかり売って、全国に、いや世界に売っていきたいと思っています」と話していた声出し番長。堅実に仕事をこなしつつ、時に何かでっかいインパクトのある仕事をかます。 ただ、チームは今季4度目のサヨナラ負けで4連敗。胸中は複雑だ。「負けてしまったら意味はないので。勝ち切れるように」と強調。捕手として負けたことが、何よりも悔しかった。【上田悠太】 ▼2回の岸田の2号が巨人通算1万1000本目の本塁打となった。チーム1号は36年7月15日に中島が若林(タイガース)から記録。1万1000本に到達したチームは初めてで、現在チーム本塁打2位の西武には1385本の大差をつけている。 ▽巨人阿部監督(守護神バルドナードが9回に2点差をひっくり返されて今季4度目のサヨナラ負けで4連敗)「みんな必死にやっている。うちは抑えがいっているんだから、やるかやられるか。今日はやられたけど、とにかく明日、切り替えていきます」 ▽巨人丸(4回2死一、二塁から4号3ラン)「追い込まれてたんで、難しく考えずにゾーン近辺を食らいついていくしかなかったんで。そんな中でうまく打てたなと思います」