冬の北海道に東アジアから続々…スノーリゾート人気で新千歳空港の国際線が相次ぎ増便
冬の観光シーズンが到来し、新千歳空港に就航する国際線の増便が相次いでいる。来年1月の便数は週267往復で、コロナ禍前を3割近く上回る見込みだ。航空燃料の不足が緩和傾向にあるほか、アジア圏でのスノーリゾート人気が便数増に拍車をかけた。ただ、欧米からの便が再開しておらず、空港側の人材不足も続くなど、観光業の飛躍につなげるには課題も残る。(宮下悠樹) 【図】新千歳空港を発着する国際便の数、韓国が急伸
18日午前8時頃、マレーシア・クアラルンプールとタイ・バンコクからの旅客便が到着し、新千歳空港の国際線ターミナルはスキー板やスーツケースを抱えた人であふれた。マレーシアからツアーで訪れた40歳代の夫婦は「初めて雪を見るので楽しみ」と興奮気味に話した。個人客も目立ち、旅行会社からの委託を受けたタクシー運転手らが並んで出迎えた。3万~4万円ほどの料金で、ニセコやトマムなどのスノーリゾートへ直行する客が多いという。
道航空課は毎年4月と、冬の繁忙期に当たる1月の国際線の状況をまとめている。同課によると、来年1月の運航便数は週267往復で、新型コロナウイルス感染拡大前の2020年1月を55便(26%)上回る。国・地域別では、韓国が110便、中国が54便、台湾が42便など、東アジアが大半を占める。
大韓航空は今月、ソウル便を週7往復から倍増させた。道内で撮影されたドラマ・映画のロケ地を訪れる人が多いという。中国の天津航空も、今月20日から1年ぶりに天津便の運航を再開予定で、便数も週2往復から3往復に増発。担当者は「札幌や小樽で食を、富良野で景色を楽しむなど、インスタグラムで紹介された観光地が人気だ」と話す。シンガポール航空も今月、シンガポール便を4年11か月ぶりに再開した。
国際便が復調する一因は、今夏に表面化した航空機の燃料不足が緩和してきたことだ。空港を運営する北海道エアポート(HAP)によると、国や石油元売り会社などが官民で連携を強めて需要を把握したり、復路の分も燃料を搭載してきた海外の航空会社に対し、HAPが燃費悪化分を補填(ほてん)する支援を行ったりしたことで、状況が改善した。