能登半島地震で“富山の段ボール会社”が2000万円を寄付...義援金ムーブメントの舞台裏
これまでの経験から、必要な支援が見えている
――どんな支援を行なっていますか? 東日本大震災以降、避難所生活の環境を整える段ボール製のベッド、トイレ、パーティションといった防災製品を開発、製造しており、災害発生時には供給する協定を多くの自治体と締結し、迅速に運び込める体制を整えています。 発災後、直ちに従業員の安否や各工場の被害状況を確認、稼働できることがわかったので1月4日には被災地へ入りベッドやトイレをあるだけトラックへ積み避難所へ配って回りました。約2週間で合計1,500くらいの製品をお届けしたと思います。 同時に、自社サイトで紹介している段ボールを再利用し、避難所生活を快適にするライフハック「段ボールでまもろう」をSNSで拡散。物資の運搬で避難所を回りながら作り方をレクチャーする活動をしました。 また、サクラパックスが運営する北陸のいいものを紹介・販売しているセレクトショップ「the Made In」で、能登半島地震で特に被害が大きかった能登地域の商品を販売して応援するためのECサイトを1月15日にはオープンさせ、収益の一部を能登半島地震復興支援のために寄付する活動もしています。
――次に必要な支援活動は? 被災で傷ついた子どもたちの心をケアするキャンプの実施が春休みを活用して始まるでしょう。その次は、進学を控えた子どもたちへ向けランドセルや学用品の提供。夏になれば扇風機。また、仕事へ復帰する方が増えればパソコンやスーツの提供。 このように支援活動は時間経過と共に刻々と変化します。東日本大震災で継続的な支援活動を経験したことで、先々必要となる支援が見えている分、先頭に立ち適宜求められる支援を続けていく役割を果たしたいです。
被災地の企業がすべきこと
――東日本大震災、熊本震災の支援活動を経験してきたからこそわかる、被災地の企業だからこそすべきこととは? 地震後1週間経過したころから新年会や会合などを自粛する動きが出始め、私の元にも中止案内が山ほど届きました。自粛が続けば北陸地域の経済が回らなくなり、被災者にも影響を及ぼしかねない。「これはまずい!」と、直感。賛同いただける地元企業を募り、自粛をなくそうと語りかける新聞全面広告(※上記画像)を掲載し「自粛をなくそう運動」を展開しました。 強要されて自粛するのではなく、共感した方が自発的に行動を起こすのが望ましいと考え、広告には柔らかい印象の富山弁を使用しました。すると、徐々に復興関連のネーミングに変更した催しや会合が復活しはじめ、会費の一部を寄付する取り組みも起き始めているとか。先日も、ある銀行の会合で主催者の方が冒頭でこの広告を読み上げ、会合の開催を決めたと話をされたそうです。 弊社が起こした「運動」を見て後に続き行動を起こしてくれる人がいる。弊社の役割は起爆剤となる運動により支援活動を仕掛けること、それが使命だと改めて確認できました。 これから懸念されることは、風評被害と風化問題です。金沢市内の宿泊施設では予約が9割キャンセルなったところもあるなど、既に風評被害による観光客の減少が拡大しています。