なんでも「減点方式」の日本型教育への疑問…幸福度の高いデンマークが子どもの通知表をつけない理由
日本は「自分の得意なもので評価されない」国
僕は、毎日のように全国の学校で講演させてもらっている。そんななか違和感を抱くのは、今の日本の小学校の先生たちの驚きを隠せないほどの「仕事量の多さ」だ。 「通知表」だって、とても大変な仕事のはず。 「当たり前のようにある」「これまでもそうしてきた」という先入観を取っ払い、なくすことができたなら、子どもたちはもっと勉強が好きになるかもしれないし、そうなれば、親たちもガミガミ言わずに済むはず。 そんなふうに、やめるだけで、みんながハッピーな世界が待っているかもしれない。 ちなみに僕が日本の教育に対して違和感を抱く、もうひとつの大きな点は「なんでも減点方式」だということだ。 例えば日本では、得意な教科があれば、「あなたはその教科は得意だから、他の苦手な教科を頑張ろう」と言われることが多くないだろうか。 そのせいか、「あいつは、〇〇はできるけど××はできない」といった具合に、自分の得意なものでは自分を評価してもらえないことが日本では多い気がするのだ。 一方、海外の多くの国においては、得意な教科があれば、「あなたはその教科が得意だから、さらにその教科を伸ばそう」となることが多い。 つまり、日本とは違い、海外の多くの国では「加点方式」なのである。この減点方式も日本人の多くが勉強を嫌いになる、大きな理由だと思っている。 たったひとつ、好きな教科や得意な教科があれば、それはもう「勉強が好き」と胸を張って言っていいし、「勉強が得意」と言っても良いのではないかと僕は思っている。 ましてや、「嫌いな科目」を、少しでもマシになるようにと、向き合わされるような勉強法はやらなくていい。 人生は短い。 嫌いなことや苦手なことに費やす時間なんてないのだ。 文/谷口たかひさ 写真/shutterstock ---------- 谷口たかひさ(たにぐち たかひさ) 1988年大阪生まれ。日本の大学在学中に留学費用の工面のため10代ながらインターネットビジネス会社を起業し、イギリスのマンチェスター大学へ留学。卒業後、チェーンストアのエリアマネージャー、アフリカのギニアでの学校設立支援、メガバンク/M&A/メディアのコンサルタント、グローバルIT企業の取締役を経験。その後、社会の課題解決を志してドイツへ移住し、起業。2019年、ドイツで気候危機の深刻さを目の当たりにし、「みんなが知れば必ず変わる」をモットーに、気候危機の発信や日本では報道されない世界情勢にまつわる講演を開始。世界中から講演に呼ばれるようになり、日本では1年で515回、全都道府県での講演を達成。2021年には国連総会の司会とスピーチも務めた。趣味は旅と勉強で、訪れた国は約80ヵ国。保有資格は国際資格や国家資格を含め30個以上。 ----------