夫の死去から5年…60歳シニア女性「再婚したい相手ができました。年金や相続にまつわる注意点を教えてください」【FPが解説】
相手が亡くなったら、相続はどうなる?
もし、再婚相手が先に他界した場合、財産の相続はどうなるでしょうか? 再婚相手に、前配偶者との子どもがいれば、現配偶者と子どもが法定相続人となり、それぞれ2分の1ずつ財産を引き継ぐのが基本です。 もし、再婚せずに他界していれば、相続財産はすべて子どもが引き継ぐことになりますが、再婚してから他界すれば、相続財産の半分は現配偶者が引き継ぐことになるため、子どもが、親の財産すべてを相続するつもりでいたとすると、トラブルの原因になりかねません。 そのため、どの財産を、誰に、いくら継がせるか、再婚する前に決めておく必要があります。 遺産をどのように分割するかを決めたあとは、被相続人の意思を尊重し、相続を円滑に進めるためにも、遺言書の作成が不可欠になります。
不動産を相続する場合の注意点
不動産を相続する場合には、特に遺産分割に注意が必要です。 例えば、再婚した夫が都心の一等地に住んでいて、相続財産の大部分が不動産であった場合、再婚した妻が自宅を相続すれば、遺産分割のバランスが悪くなり、相続争いが起きる可能性が高くなります。こうなってしまうと、子どもに代償金の支払いを求められるケースもありえます。 そのような事態を避けるためにも、配偶者が無償で自宅に住み続けられる配偶者居住権を取得するものとして、遺言書は必須となります。 もし、老後資金が不安で、相続争いせずとも多めに財産を受け取りたい場合は、生命保険への加入を検討しましょう。夫を契約者・被保険者、妻を受取人にした終身保険です。このような契約にすれば、死亡保険金は遺産分割に関係なく、妻は確実にお金を受け取ることができます。 最後に、シニアの再婚前後の確認事項と相続に関する重要事項をまとめておきます。 ●再婚相手が加入する年金を確認 ●相手が離別の場合、以前の配偶者への年金分割の有無を確認 ●再婚相手から多くの遺産を受け取る場合は、子どもの遺留分に注意 ●遺留分の支払いに備え、死亡保険への加入も検討 ●夫亡きあとの住居の確保のため、配偶者居住権の活用も検討 岸田 康雄 公認会計士/税理士/行政書士/宅地建物取引士/中小企業診断士/1級ファイナンシャル・プランニング技能士/国際公認投資アナリスト(日本証券アナリスト協会認定)
岸田 康雄