「教員の働き方」考えるイベントが増加 当事者の関心の高まりを反映
教員の長時間労働が問題となる中、働き方改革の具体策を共有したり、教員同士が意見を交換したりする場が増えている。中央教育審議会の特別部会で教員の働き方についての議論が始まった7月以降、全国でイベントが相次いで開催され、教員や教育委員会の関係者らが参加している。国の議論と並行して、教員たちが長時間労働の問題を「自分ごと」として捉える変化が全国で起きているようだ。
「今変えなければ教員の未来はない」強い危機感
「今日は本当に参考になりました。まずは勤務時間外に学校の電話を留守番電話にするところから検討したい」。11月中旬に行われた、教員の働き方改革について考えるフォーラムに参加した、さいたま市の小学校の教頭(54)は充実した表情を見せた。このフォーラムには教員のほか教育委員会の職員やNPOの関係者ら約50人が参加した。 この教頭によると、現場ではいまだに長時間労働への問題意識が低いという。残業代という概念もなく、子供のためにやりがいをもって働いている人も多く、「なぜ際限なく働いてはいけないのか、そこから理解してもらう必要がある」と懸念する。 フォーラムでは、長時間労働の改善にむけ、国や教育委員会に求めたいこと、学校・地域で進めていきたいことを、参加者らでまとめる75分のワークショップが行われた。参加者が5、6人のチームに分かれ、ホワイトボードを囲みながら意見をまとめていく。
さいたま市の教頭のチームには横浜市や足立区、岡山県からなどの参加者がいて、意見を積極的に交換した。横浜市の教員が、勤務時間外の電話対応は留守番電話に切り替えていることなどを紹介すると、他の地域の参加者は驚きの声をあげた。「子供が帰ってこないといった緊急の電話にはどう対応するんですか?」「学校がいつも探してあげるわけにもいかない。本当の緊急時には警察に任せます。今のところ、留守電になったことへの苦情は来ていないですよ」「午後6時半を区切りにもう電話対応しなくてもよいとなれば、だいぶ負担が減りますよね」などのやりとりが見られた。 ワークショップの最後には各チームがまとめたアイデアを発表し合って共有。先ほどのチームでは留守番電話の活用などを盛り込んでいた。 ワークショップを終えて、さいたま市の教頭は「私も昔は、時間のことを考えずに仕事をしてきたが、その結果、自分の子育てをもっと手をかけてしたかったという後悔もある。多忙化が言われるようになり、今若者も教員を目指さなくなってきた。家庭生活と両立できるように、教員の仕事は変えないといけない。このままでは業界全体がつぶれてしまう」と話していた。