「教員の働き方」考えるイベントが増加 当事者の関心の高まりを反映
教員の長時間労働、なぜだめなのか
この日のフォーラムで司会を務めた、中教審の「学校における働き方改革特別部会」の委員でもある教育研究家の妹尾昌俊氏によると、教員の働き方改革が求められるようになった背景には、まず、小学校では約57.8%が、中学校では約74.1%が、時間外労働が過労死ラインと言われる月80時間を超えており(自宅残業を含む推計)、民間企業と比べても働きすぎている現状があるという。「名古屋市のある中学校では、残業時間が月200時間を超える教員がいた。電通の過労死事件があったが、労基署が認定したのが残業月105時間。学校は電通よりひどいという危機感をもったほうがいい」と指摘する。 さらに、小学校では約5割、中学校では約7割の教職員が「休憩時間が全く取れていない」とする横浜市の調査結果もある。トイレに行く時間すら取れないため先生の職業病は膀胱炎とも言われており、長時間労働だけではなく、過密労働も大きな課題だという。
この状況の課題は何か。例えば、多忙でもつらさを感じていない場合、問題ないのだろうか。 妹尾氏は「まずは、多忙により、命の危険がある。ワークライフバランスというとライフは私生活という意味だが、教員にとっては、命という意味でライフが脅かされている。もうひとつは、能力開発、自己研鑽の時間がなくなっている。例えばじっくり本を読んだり、どこかに出かけて見聞を広める。そういった機会が失われる。そのほか、仕事の能率の低下、教員の仕事が不人気になるといった弊害が出ている」と指摘する。 「アシスタントさんを雇って事務作業を減らす、進路指導を外部と連携してやる、そういった試みをしている学校もすでにある。学校現場では、何かをやめるときに子供がかわいそうという意見がでるが、それでは『24時間働けますか』コースまっしぐらだ。学校の行事は教育効果は高いが、負担感やそれにかけている時間と効果を考えて、どこかでメリハリをつける必要がある」と説明する。