「教員の働き方」考えるイベントが増加 当事者の関心の高まりを反映
今年になってから「働き方」考える教員向けイベントが増加
教員の働き方についての問題意識の高まりを受けて、今年7月から中教審の特別部会で、教員の働き方改革の具体策について取りまとめる議論が始まった。それに呼応するように、先の事例のようなイベントが相次いで開催されている。 教員向けのイベントなどの日程をまとめたサイト「SENSEI PORTAL」で調べると、今年の7月から、「働き方」に関連するイベントが、福岡、東京、岐阜、茨城、大阪などで9件開催・予定されていた。この9件以外にも今年は、教員の働き方をテーマとした複数のイベントが開催されている。同じサイトで前年を調べてみても「働き方」に関するイベントはほとんど開催されていない。 先のフォーラムを開催したNPO法人「まちと学校のみらい」の竹原和泉代表も「これまではもう少し幅広いテーマについて、地域と学校の未来を考えるフォーラムを開催していたが、今年初めて働き方改革にしぼって開催した」と話す。当事者である教員の関心の高まりを受け、NPOなどが受け皿となり情報提供の場を広げているようだ。
働き方に無関心な教員も未だ多く、二極化の懸念
一方、フォーラムの参加者からは、長時間労働に危機感を持たない教員もまだ多いという声も聞かれた。 横浜市教委の島谷千春・教育政策推進課担当課長は、「10年ぐらい前から忙しいということは言われていたが、ここまでの風は吹かなかった。メディアでも取り上げられるようになり、民間企業でも働き方が問題になってきたことにより、やっと意識が高まってきた」と言いつつも、「地域によって温度差がある。特に生徒指導に課題を感じている学校などには、こういう話が響きにくい。『目の前にはいろいろな問題がある。やり方を変えるに変えられない』という声を聞くことが多い」と説明する。 民間企業などと連携し、教育改革を進める埼玉県戸田市の戸ヶ崎勤教育長は、「教職員のマインドセットをどうやって変えるかだ。国や県教委といったところから出てきたやり方でやると、それが負担感になり進まなくなる。こういったことはボトムアップで進まなければならない」と指摘。「今は2020年度から始まる新学習指導要領に対応するため、教員の負担も大きくなっている。新しい授業に取り組むことと、働き方改革は相容れないように思われるかもしれないが、むしろ、働き方改革をしなければ学習指導要領に沿った内容を行うことはできない。授業改善を業務改善のトリガーとして考える、逆転の発想が必要だ」と話し、さらなる現場レベルの意識改革の重要性を訴えていた。 ※戸ヶ崎教育長の崎の字は本来はたつさきです (取材・文/高山千香)