若者の茶離れにSTOPを! 兄弟二人三脚で新風 焼津の茶製造・小売り「丸玉園」 茶氷に長蛇の列
焼津市で茶の製造・小売業を営む「丸玉園」。創業1950年。3代目増田啓介さん(37)は、弟の孝太郎さん(35)と二人三脚で家業を成長させている。2人の共通テーマは「若者の茶離れに歯止めをかけること」。商品ありきのプロダクトアウトの慣習を見直し、消費者ニーズに応じたマーケットインへ発想を転換。若き茶商が、焼津の地から新風を巻き起こしている。 増田さんは大学卒業後、JAで茶業の基礎を学び、29歳で家業を継いだ。仕入れから製茶まで全て一人で担う、茶商の王道を歩んできた。転機となったのは2018年。大学卒業後に神奈川で不動産営業をしていた孝太郎さんが丸玉園に帰ってきた。「若い世代に届くお茶屋にしよう」。コンセプトを練り上げ、自社ブランド「SANOWA(茶の輪)」を立ち上げた。 柱に据えるのは「手軽さ・おいしさ・おしゃれさ」の三つ。ロゴやパッケージのデザインを洗練させ、ティーバッグ中心に商品を構成。フレーバーティーと和紅茶を主体に、同世代への訴求を図っている。孝太郎さんが自社製造の焼き菓子やスイーツの販売も始め、イートインで茶とセットで提供している。 茶氷の販売にも力を入れる。自家製シロップと多様な商品展開が受け、夏場は店頭に長蛇の列ができるまでに。見栄えと味の良さが相まって、インスタグラムのフォロワーは7600人を超えた。若年層を中心に口コミが広まり、最近では地元の高校生が制服で訪れることも増えてきた。 茶業の屋台骨を支える兄と弟のアイデア、実行力。「お茶屋をコーヒーショップのようにするのが目標。若い人に茶に親しんでもらえるよう、今後もいろんな仕掛けを考えていきたい」。2人の視線は先を見据えている。
静岡新聞社