アイルトン・セナを総額100億円のマクラーレンが偲ぶ
新型ソーラスGTが走った!
マクラーレン・トラックデイ・ジャパン2024当日は、晴天に恵まれた。オープニングセレモニーでは、マクラーレンに魅了されたというお笑い芸人、平成ノブシコブシの吉村崇が登場。彼自身マクラーレン「720Sスパイダー」オーナーで「来年はサーキットデビューしてみたい」と、語った。 当日は、2023年に発表された世界限定25台のサーキット走行専用車「Solus GT(ソーラスGT)」も日本で初公開。 ジェット機のようなスライド式のキャノピーや独特の造形はもの凄い存在感だ! キャビン背後に5.2リッターV型10気筒エンジンを搭載し、最高出力840ps、最大トルク66.3kgmを発揮。最高速は320㎞/h以上だ。しかし、ソーラスGTはエンジンがかるまでに約40分要するという。ソーラスGTのために本国から専門スタッフが来日したほどだ。 ソーラスGTは、今回、富士スピードウェイ本コースを2週走行。1回目は本国から来たドライバーが、2回目は、日本で唯一ソーラスGTを購入したというオーナーがドライブした。当初、オーナーが購入した自身のソーラスGTで走行予定だったものの、納車が間に合わず、マクラーレンのデモカーになったという。価格は推定6億円! オーナーに自身のソーラスGTの特徴について訊くと、「最新のマクラーレンのF1マシンのようなカラーリングにしようかと思っています。実は今から色の打ち合わせをするところで…」とのこと。もう少ししたら、特別なカラーリングのソーラスGTを、日本でも目にする日が来るはずだ。 ほかにもサーキット走行を家族で楽しめる「エンジョイファミリー走行」や「アクティブファミリー走行」、もう少しサーキットを走りたいオーナー向けの「フリースポーツ走行」や本気でコースを走る「エキスパートフリースポーツ走行」、車種限定の「特別走行枠」、プロドライバーが運転する助手席でサーキット走行を楽しむ「サーキットタクシー」など参加型プログラムはいくつも用意された。 そして約200台のマクラーレン車によるパレードランは圧巻だった。今回で4回目の参加となる九州在住のオーナーは、「マクラーレン・オーナーたちとのコミュニケーションがとにかく楽しいです。九州からだと2泊3日になるので、“大人の遠足”ですが、それもまた毎年の楽しみです」とのこと。遠方からの参加者も多いのが特徴だ。 それにしてもブルーノ・セナは、アイルトン・セナに似ている。特に目元が似ていて、ヘルメットから覗く目は、本当にそっくり! ちなみに私は2005年、ブルーノ・セナのイギリス・フォーミュラ3選手権デビュー戦にいた。日本人女性で初のヨーロッパF3に参戦する井原慶子の取材だったのだ。 当日はブルーノ・セナのF3デビュー戦ということで多くのメディアがいたことを、ブルーノ・セナ本人に話すと、「彼女(井原)が参戦していたから当時、メディアがたくさん取材に来ていて僕も驚いたよ」と、気さくに述べた。 少し話をしただけで、ブルーノ・セナもアイルトン・セナに負けず劣らずチャーミングで魅力的な人であることがわかった。なるほど、アイルトン・セナの魅力が色褪せないのは、ブルーノ・セナの存在が大いに関係があるのかもしれない。アイルトン・セナが有する輝かしい歴史の生き証人がブルーノ・セナなのだ。
文・吉田由美 編集・稲垣邦康(GQ)