「光る君へ」竜星涼、隆家のマインドの強さの理由を解釈 「誰かと比べているうちはうまくいかない」
「兄はどちらかというと、身分や過去の栄光に固執するタイプで、大人になり切れなかった人。弟の隆家はそうした姿をずっと見ながら生きている。だから、僕はやっぱり家族構成ってすごく大事なんだなと思ったりするんですけど。隆家は貴族っぽくはないけど、意外と客観的に物事を捉えている。それも彼が長男とか上の人間じゃないからだと思うし、上を見て育っているからこその判断力、決断力だったりもするのかなと。かっこよくて華やかな存在だった兄が、家が落ちぶれてそうではいられなくなった時、立ち直れるのか直れないのか。隆家には、兄貴のようにはならないようにしようっていう、単純にそういう気持ちがあったのではないか。絶望から跳ね上がる力、強さが彼にはあったのかなって思います。それと、史実とは描かれ方が違っているようですが、隆家が道長と対峙した時に、初めて兄が負ける瞬間を見たというか、もっと上手の強い人間がいるんだと気づいて惹かれていった。加えて、隆家は武力を重んじていますが、そうした意味での強さもあり、戦のない時代においては異端児でありながらも、先を見据えることができた人間だとも思っています」
13日放送・第39回では伊周が、これまでの呪詛がわが身に返って来たかのように病に倒れ衰弱し、この世を去った。伊周は「俺が何をした……父も母も妹もあっという間に死んだ……。俺は奪われつくして死ぬのか……」と無念の思いを口にし、息子の道雅(福崎那由他)に「左大臣(道長)には従うな」「低い官位に甘んじるぐらいなら出家せよ」と言い残し、最後にはかつて父、母、定子(高畑充希)と雪遊びをした幸せな日々を思い返しながら死んでいった。竜星は息絶え絶えの兄に対して涙ながらに「敦康親王様のことはわたしにお任せください。安心して旅立たれませ」「あの世で栄華を極めなさいませ」と言葉をかけた。兄を看取った隆家の心情を、竜星はこう振り返る。 「唯一の家族だった兄貴が亡くなる。本当にあのセリフの通りなのかなと思いましたけどね。自分のせいで兄の人生を狂わせてしまったかもしれない贖罪の念はありつつ、だからこそ“あの世では自分の好きなような道を歩んでほしい”と。あのシーンは、本当に……兄貴がようやく楽になるっていう気持ちもあったんじゃないかと思います。ここまで恨んで恨んで恨んで……っていうのを原動力に生きていて、最後には楽しかった頃を思い出して死んでいく。ようやく自分の好きだった兄貴に戻ったのかなっていう、そういう最期だったような気もしますね」