前半、トライを決めるナイカブラ（右）。日本は序盤リードしたが、結果は大敗となった（撮影・福島範和）

ラグビー・リポビタンDチャレンジカップ2024（26日、日本19－64ニュージーランド、日産ス）世界ランキング14位の日本代表は、同3位のニュージーランド（NZ）代表に19－64で大敗した。W杯3度優勝の「オールブラックス」との対戦成績は、これで8戦全敗。またも勝利は挙げられなかったが、先制トライを決めるなど前半20分までは互角に戦い、6万57人の大観衆を沸かせた。日本は30日から欧州に遠征し、フランスやイングランドなどと対戦する。 一時は大きくなった観客6万57人の歓声が、だんだんと消えていった。日本はNZに大量10トライを許して大敗した。 「結果は残念。悔しい。最初の20分はいい形だったが、その後の29失点した20分が悪かった」 エディー・ジョーンズ・ヘッドコーチ（HC、64）がそう振り返った通り、序盤は「超速ラグビー」で見せ場を作った。前半5分、ラックからSH藤原の内側に走り込んだWTBナイカブラが40メートルを突破して先制トライ。7－14の同19分には、NO・8マキシのトライで12―14とした。 しかし同21分。強烈なタックルからLOディアンズが逆転トライを決めたかに見えたが、TMO（ビデオによる判定）でその前にノックオンがあり、取り消された。これで流れが一転。ハーフタイムまでに5連続トライを許して29失点。前半を12－43で終え、金星の光は見えなくなった。 勝ち越したと思い、集中力を失っていた。「トライキャンセルはその通りの判断だったが、精神面で対応できなかった」とジョーンズHC。PR竹内は「ソフトになってしまった」と言い、HO坂手は「気の緩みがあった」と認めた。 100点差以上の大惨敗もあったNZに、2022年には7点差の31－38。2年ぶり8度目の挑戦で45点差に広がり、再び力の差を見せつけられた。だが日本は27年W杯オーストラリア大会に向け、若返りを図る最中。この日出場した23人のうちNZ戦出場歴があったのは6人。17人が初めてだった。指揮官は「経験は積んでいくもの。最初の20分はいい形で重圧をかけられた。この時間を長くしていく必要がある」と未来を見据えた。 30日から欧州に遠征し、フランスなどと3試合を戦う。「この敗戦を受け入れて、前に進んでいきたい」と主将のSO立川。強敵との対戦を、必ず糧にする。（石井文敏）