韓国警察と検察、「12・3内乱」の捜査に拍車かけるが…「特検は避けられない」
韓国の検察と警察は、3日の尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領の非常戒厳宣言によって触発された「尹錫悦内乱疑惑」の捜査にそれぞれ特別捜査本部と専担捜査チームを設け、速度を上げている。検察は、軍検察の協力を受け合同捜査を進める方針だが、内乱罪の直接捜査の方針を固めたものとみられる。警察も「内乱罪捜査権」を主張しており、当分の間、同時に捜査が進められると予想される中、捜査の公正性を確保するためには、特別検事が避けられないという声があがっている。 最高検察庁は6日「特別捜査本部を構成し、今回の非常戒厳関連事件に対して厳正に捜査する」と発表した。パク・セヒョン・ソウル高等検察庁長が本部長を務める。最高検察庁はまた、特別捜査本部に軍検事など軍検察から人材を派遣してもらい、合同捜査を進めることにした。国会と中央選挙管理委員会に実際に戒厳軍が投入され、戒厳宣言と指示過程に軍高官などが関与した点を考慮した措置とみられる。 検察が異例にも迅速に特別捜査本部を設けたのは、内乱罪捜査の主導権を検察が握るためとみられる。最近、国防部と国家情報院関係者の暴露が相次ぎ、尹大統領の内乱容疑は強まっている。検察と警察の捜査権調整により検察は内乱罪捜査に着手できないが、職権乱用捜査に乗り出した後、「直接関連性のある犯罪」として内乱容疑まで拡大することは理論的に可能だ。 内乱罪の直接捜査権を持っている警察も同日、約120人規模で専担捜査チームを構成し、本格的な捜査準備を終えた。警察庁安保捜査指揮課のキム・サンホ課長は「内乱と関連して捜査できる機関は警察だ。このため、専担チームを設けて捜査を行っている」と述べた。 検察と警察の両機関が競って捜査に乗り出したが、両機関ともに公正な捜査を期待するのは難しいと指摘されている。検察はこれに先立ち、(尹大統領夫人の)キム・ゴンヒ女史のブランドバッグ受け取り事件、ドイツモーターズ株価操作事件などを相次いで不起訴としたことで公正性を疑われており、警察もやはりチョ・ジホ警察庁長などが戒厳関連者として告発された状態であり、「セルフ(自分で自分を)捜査」という批判を受けている。 これに対し法曹界では迅速な特検の導入が必要だという声があがっている。朴槿恵(パク・クネ)-チェ・スンシル国政壟断特検チームに参加したチョン・ミニョン弁護士は「検察と警察いずれも、この事件を捜査しないかぎり組織を保存できないと考え、素早く捜査に乗り出した」とし、「検察と警察による二重捜査を調整するコントロールタワーもいないようだ」と語った。慶煕大学法科大学院のソ・ボハク教授は「証拠隠滅がなされないように早い措置が必要だが、これまでの警察と検察の捜査を見る限り、公正な捜査を期待するのは難しい」とし、「早期に特検を導入する必要がある」と語った。 カン・ジェグ、イ・ジヘ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )