荒れ地だった石仏の前に戻ったにぎわい かつて途絶えた祭り、再びつながる場所に 2年がかりで整備した住民の思い
長野県飯島町の人形師飯田美千香さんらが、同町で「清水坂お不動様」として親しまれている不動明王の石仏の前で、獅子舞を披露した。一帯では1960年代ごろまで毎年祭りが開かれたが、その後に途絶え、草が生い茂る荒れ地となっていた。約2年前から住民有志が手入れを始め、整備後の初の催しとして獅子舞を企画。地元住民ら約20人が集まり、1年の無病息災を願った。 【写真】「清水坂お不動様」として親しまれる石仏
石仏は江戸時代中期に伊那谷の修験者によって作られた。当初は別の場所にあったが、明治以降の道路改修に伴って現在の場所に移されたという。この日、獅子頭をかぶった飯田さんは「住民の皆さんのご健康と長寿を願った」といい、太鼓の音に合わせて優雅に舞った。
企画した住民有志の「清水坂周辺の文化財を守る会」は、一帯で草を刈って整備してきた。同会代表で郷土史家の伊藤修さん(74)は「今後も地元の人にお参りしてもらえるようになればいい」と期待。訪れた住民の野々村邦夫さん(73)は「人が減っていく中で、『守る会』の人たちが地域の文化を復活させてくれて良かった。新たに住民同士がつながれる場所ができてうれしい」と話した。