W杯最終予選で出番ゼロ。「僕がプレミアに行ったから出られる確約はない」。菅原由勢の胸中「もっと自分にシビアに言い聞かせないと」
「攻守両面に関わる部分や走力は十分に出せる」
今の代表で菅原が出るとすれば、右ウイングバックか3バック右となるはず。 前者の場合は2022年カタールW杯メンバーの堂安と伊東がいて、指揮官の2人に対する信頼も絶大だ。ここ3試合は堂安が先発して攻守両面で異彩を放ち、伊東がジョーカーとして後半から登場。確実に得点につながる結果を残している。 そんな2人に比べると「菅原は攻撃力でやや見劣りする」という評価があるから、今は起用が見送られているのだろう。 ただ、試合展開や相手次第では、菅原の方がベターということもあり得る。たとえば日本がリードして、終盤に守りを固めたい時などは、より有効なピースになり得る。そういった最適解を森保監督にはいち早く見出してほしいところだ。 一方、後者の場合だと、板倉滉(ボルシアMG)や間もなく怪我から復帰してくる冨安健洋(アーセナル)がライバルになる。カタールW杯前から主軸と位置付けられる2人を外して菅原を入れるというチョイスは今のところ難しそう。となれば、やはり彼は右ウイングバックで活路を見出していくのが賢明だ。 「(右ウイングバックでは)前に関わっていく回数、得点に繋がるプレーはもっともっと出せると思う。そこはチームでもあまり結果を出していないので、もっともっと自分にシビアに言い聞かせないといけないですね。自分は攻守両面に関わる部分や走力は十分に出せると考えている。守備に重きを置くんじゃなくて、今、出ている選手を超える攻撃力を目ざしていくことが大事になると思っています」 菅原本人も今、何をすべきかよく分かっている。ならば、練習や所属クラブの試合で攻撃面の際立った違いを出すべく、積極的に取り組んでいくしかないのだ。 さしあたって、次は15日のオーストラリア戦。チームは12日から国内で全体練習をスタートするが、おそらく森保監督は堂安のスタメン、伊東のジョーカーを変えないだろう。菅原が出番を得る可能性は低いものの、彼には11月もその先もチャンスがある。 特に11月はいずれもアウェーでインドネシア、中国という格下との2連戦。そこで余裕ある戦いができれば、指揮官も「今回は菅原を右ウイングバックでテストしてみたい」と考えるかもしれない。 1年前まで右SBの絶対的主力だった選手にとっては過酷な環境に他ならないが、一つひとつ序列を引き上げていくしか出番を勝ち取る方法はない。 現実の厳しさを受け止めつつ、持ち前のアグレッシブさと負けじ魂を前面に押し出し、貪欲にぶつかっていくことが菅原にはできるはず。今は辛いだろうが、その苦悩が明るい未来につながると信じて、高みを目ざし続けてほしいものである。 取材・文●元川悦子(フリーライター)
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