南三陸へ…移り住んで高校生活! 全国から生徒募集…志願者は前年の2倍 町長が身元引受人【東日本大震災13年の“あれから”】
■地域全体で生徒たちを見守り
寮母を務めるのが熊谷小松さんでした。取材したこの日は生徒5人を受け入れる3日前のことで、料理に使う調味料の買い出しに来ていました。 寮母・熊谷小松さん 「自分も使っていてすごく美味しいし、子どもたちにも、せっかくここに来たんだから、南三陸町のに慣れ親しんでほしい」 近所の味噌・醤油屋さんで買い込んだのは、5キロの白みそと醤油の濃い口と薄口、それに甘みそ。県外からの生徒を受け入れることに関して地域の人はどう思っているのか。 高長醸造・高橋長泰さん 「ここは特にいろいろな地域から集まって団地を形成して。でも、大丈夫」 地域全体で生徒たちを見守っていきます。 寮母・熊谷小松さん 「いっぱい食べて、元気に」 「分からない土地に来て聞きたいこともあるだろうし、悩むこともあるだろうし、そういう時に気軽に話しかけてもらえるような雰囲気はいつも作っておくべき。心がけていきたい」
■“第二の故郷”と思ってもらえるように
公立高校での生徒の全国募集は、都道府県別では東京や大阪、愛知などを除く41道府県が始めています。2023年度、東北では秋田では全ての学校で、岩手では14校、山形が6校、福島が4校。青森(4校)は宮城(2校)と同じく2023年度からスタートしました。 その一番の理由は少子化。旧・志津川高校でも2021年度の生徒数は173人と、2011年度の392人から半分以下まで減少しています。県の教育委員会に生徒の全国募集を提案したのは、南三陸町の佐藤仁町長だったといいます。 佐藤仁町長 「このまま推移していくと、学校の統廃合に繋がっていくという危機感を持っていた」 「ここ南三陸が“第二の故郷”だと思ってもらえるようにサポートしなければならない」 入寮式にも出席した佐藤町長は、生徒たちの身元引受人も務めます。
■「地元の人と積極的に関わりたい」
神奈川出身・小畑さんの両親も南三陸での3年間に期待を寄せます。 小畑孝太朗さんの母 「『地元(神奈川)の高校に行って、たくさんの人数の中で一人埋もれるのではなく、自分のやりたいことを見つけて、一人一人が輝けるような高校を自分は見つけた。それが南三陸高校だった』ということに心打たれて、応援しようと思った」 小畑孝太朗さんの父 「この町を好きになってもらわなければここに来た意味がない。その上で“学校生活”、“勉強”がメインなので、頑張ってもらう。寮に入ったから“自立してやっていく”」 「この3つはノルマとしてやってほしい」 小畑孝太朗さん 「地元の人と積極的に関わっていって、この南三陸町をもっといろいろな人に知ってもらいたいということと、この町のために少しでも努力しようと」 伊藤芽衣さん(山形出身) 「南三陸の中でボランティアを探したり、長期休みにアルバイトをしたりしてコミュニケーションの機会を増やしていきたい」 やって来た生徒たち。そして、南三陸町で生まれ育った生徒たちが新たな町の未来を作ります。