茶番だった新ポスティングシステム
■保有する大物投手を放出せざる得ない事態 先の「ESPN.COM」の記事では、2012年にサイ・ヤング賞を獲得し、2年後にFAとなるデイビッド・プライス投手(レイズ)あたりは、大きな恩恵を受ける指摘しているが、一方でレイズは田中の契約を聞いて、顔をしかめたはず。資金力のない彼らが、プライスと再契約を交わすのは無理。よって、すでにトレードを模索しているが、これで選択肢が、狭まった。 レイズとしては、プライスを出す限り、将来有望な選手を最低でも2~3人は獲得したい。トレード相手にしてみれば、それだけの犠牲を払う以上、プライスを獲得したあとすぐに契約を延長したい。が、田中の契約を考えれば、プライスと契約延長が出来るのは、ドジャース、ヤンキース、レッドソックスらごく一部の資金力のあるチームだけとなり得る。レイズとしては、出来るだけ多くのチームに争わせたかったが、これでは逆に足下を見られかねない。 田中の契約による波紋は今後、どんな広がりを見せるのか。「金ではタイトルは買えない」とも話したレッドソックスのルキーノCEOだが、チームの先発陣を支えるジョン・レスターが今季終了後にFAとなる。ヤンキースを皮肉ったところで、明日はわが身か。 歓迎ムードの選手らとは対照的に、各球団は、今後のインフレに身構える。 (文責・丹羽政善/米国在住ライター)