黒木華がしんどくなったときに電話をかける「相手」
出会うべくして出会う人との縁
劇中、風吹ジュンさん演じる梓の祖母の「誰からも何もしてもらわへん人って、おらんと思う」という言葉は、この映画の大きなテーマになっている。黒木さん自身も日頃、人の想いや縁を強く感じることがあるのだそう。 「ときどき『黒木さんの映画を観て、私も女優さんになりたいと思いました』とお手紙をいただくことがあります。そんなとき『自分は、こんな遠いところにいる方や会ったこともにない方たちにまで影響を与える仕事をしているんだな』とあらためて思います。それだけに責任を感じて怖くなることもあるのですが……。 縁ということで言いますと、以前、某俳優さんに『あの子と会ったらきっと仲良くなるよ』と言われ、その後、永井愛さん作・演出の舞台『書く女』で当人と共演して、本当に仲良くなったことがありました。清水葉月というんですけど。 不思議なことに、彼女も全然別のところで『葉月は黒木華とすごく仲良くなるか、全然合わないかどっちかだと思う』と言われていたのだそう。現在彼女とは、自宅に遊びに来る間柄になっています。 そんな経験をすると、人との出会いのタイミングや、出会うべくして出会う人との縁というのは確実にあるなぁと思いますね」 ◇後編「黒木華が熱量をもって打ち込める唯一のこと」では、黒木さんが夢中になっていることについて、さらに深く聞いていく。 黒木華 1990年、大阪府出身。2010年、NODA・MAP 番外公演「表に出ろいっ! 」でデビュー。『小さいおうち』(14)で第64回ベルリン国際映画祭銀熊賞を日本人最年少で受賞。そのほか映画『リップヴァンウィンクルの花嫁』(16)『日日是好日』(18)『浅田家!』(20)『先生、私の隣に座っていただけませんか?』(21)『せかいのおきく』(23)『青春18×2 君へと続く道』(24)、ドラマ「凪のお暇」(TBS/19)「イチケイのカラス」(CX/21)「僕の姉ちゃん」(TX/22)大河ドラマ「光る君へ」(NHK/24)など幅広く数多くの作品に出演。映画『八犬伝』(24)の公開が控える。
上田 恵子(ライター)