フジアナウンサー6人が同局アナ初の短編小説出版 宮司愛海アナ「勇気のある者たち6人が集いました」
フジテレビアナウンサー6人が執筆した短編小説が、2025年3月3日に発売されることが決定した。執筆者は西山喜久恵、佐々木恭子、島田彩夏、谷岡慎一、宮司愛海、安宅晃樹アナウンサー。それぞれが「料理」を共通テーマに物語を書き、1冊の本にまとめる。同局アナウンサーにとって、初めての短編小説集の出版となる。 執筆に初挑戦した宮司アナは「小説はじめ本を読むのが昔から好きで、“いずれは書く側にまわってみたいなあ”と思っていましたので、企画を聞いて“このタイミングしかない!”」と参加を決意した。 同アナが描いたのは、ロールキャベツを作り続けてしまう独身OLが主人公の、一晩の物語「もやもやのロールキャベツ」。職場のストレス、恋愛関係、将来への不安など、悩みがつきない女性は、ぼやきつつ、時に自分に突っ込みながら丁寧にロールキャベツを作る。作るのに手間がかかり、キャベツで包まれ中が見えないロールキャベツはまさに自分のようだと。もちろん、ロールキャベツを作るだけで人生は好転しないが、その晩の料理は、主人公を明るい将来へ導く存在となる。 「作中に出てくる“ロールキャベツ”は実際に私もよく作る料理で、数回作っていくうちに会得したコツや隠し味なども盛り込みました。レシピにも注目していただきたいです」と語った。 本書は、料理は科学だと言い切るシェフ、母が作るペペロンチーノの隠し味を知りたい社会人、家事育児のストレスから家庭での料理担当を夫に一任する母親、朝ご飯をめぐって親とけんかしてしまう小学生、都会の生活を謳歌(おうか)しつつ故郷の梅干しに惹かれるOLなど、料理をテーマに描かれる物語が連なる。6人のアナウンサーが初めての小説執筆に奮闘する姿は、フジアナ公式YouTube「フジアナch.」にて配信される。 舞台も主人公も、時代も違いながら、共通するのは、物語の豊かな世界を通し、優しい気持ちになれること。お腹も心も満たされる物語に注目だ。 ▼安宅晃樹アナウンサー 作品タイトル「満天のハンバーグ」 「4歳の息子に、日々、絵本の読み聞かせをしています。子供が大きくなった時に“この本はパパが書いたんだよ”と言ったら驚くかな…?という思いと、小さい頃から文章を書くことが苦手だったので、苦手克服に絶好の機会だと思い参加を決意しました。料理をすることは好きで、頭の中でいろいろなイメージをするも、そこから物語としてどう落とし込んでいくかに苦労しました。最後まで読んだ後、“あの描写はこういうことだったのか”という要素をいくつか盛り込んだので、ぜひ再読してもらえると嬉しいです」 ▼佐々木恭子アナウンサー 作品タイトル「カレーリレー」 「“無理かも?”と思うチャレンジこそ“やってみる”のがモットー。小説を書くことは予想もしていなかったですが、大好きな“本”に関われるチャンスであればやらないわけにはいかないです。なんとか書き終えて、清々しいです。自分の中の『こうでなくっちゃ』という思い込みを手放すと、人生はもっと豊かに、もっと“今、この瞬間”が楽しくなるような気がします。『カレーリレー』を読んで、何か自分をしんどくさせている思い込みや縛りがほどけるといいなと思いますが、ただただ、楽しんでもらえたら嬉しいです」 ▼島田彩夏アナウンサー 作品タイトル「母からの梅干し」 「食べることは生きること。それぞれの思いが込められた“食”のストーリーは書き手の人生観が垣間見られるテーマだと思います。一から物語を生み出すのは至難の業でした。完全に創造の物語ですが、作中の梅仕事は実体験から。幼い頃、祖父母の家に梅の木がありそこで梅もぎや乾燥、ヘタ取りなどをしていたことは懐かしく温かい思い出です。自分の居場所はどこにあるのか。誰しも、特に若かったり、気を張らなくてはならない環境にいたりすると時として見失うこともあります。だけど居場所はいつだって自分自身の中に見出すことができる。そんなことを感じていただけたら嬉しいです」 ▼谷岡慎一アナウンサー 作品タイトル「空色のペペロンチーノ」 「普段から本を読んでいる時に、作者がどうストーリーを考え、物語を構築していくのかに興味がありました。今回、自分で書いてみたら少しでも作者の気持ちがわかるかもしれない、またアナウンサーとして表現の幅が広がるかもしれないと思い、参加しました。テーマである“料理”の細かい描写や、主人公の心情の変化など短い話の中でどう描けば読者の方に伝わるのか試行錯誤しながら書き進めていきました。今回は自分でも作る事の多いパスタ料理『ペペロンチーノ』が題材。料理を通して人間関係を見る目が変わっていく主人公の様子を楽しんでいただければと思います」 ▼西山喜久恵アナウンサー 作品タイトル「鯛の鯛」 「旅館の娘として育ったため、365日、朝から晩までいつも私の周りには“料理”が溢(あふ)れていました。小説を書く材料はたくさんあると思っていたのですが…。自分の伝えたい想いを上手く表現できず悩んでいる時、編集部の方から“登場人物のセリフで表現してみては?”とアドバイスをいただき、そこから物語が動き出しました。幼き頃の記憶をベースにいろいろなシーンをつないだフィクション。主人公の旅館の娘と、彼女を取り巻く優しい登場人物とのかかわりなど、個々のキャラクターの魅力があふれています。バリバリの広島弁で会話が繰り広げられていますので、是非音声でも伝えられたらと思っています」 ▼宮司愛海アナウンサー 作品タイトル「もやもやのロールキャベツ」 「小説はじめ本を読むのが昔から好きで、“いずれは書く側にまわってみたいなあ”と思っていましたので、企画を聞いて“このタイミングしかない!”と、一念発起して参加を決意しました。アナウンサーが小説を書く、というなかなか無謀な挑戦にも怯まず、我こそはと手を挙げた勇気のある者たち6人が集いました。一冊通して読んでみるとどんな感情になるのか、是非体験してみて下さい。小説のテーマは“料理”。作る人、食べる人、立場は違っても生きていれば誰しもが関わっている“人類共通の話題”。どういった目線で“料理”というテーマに取り組むか迷いましたが、作中に出てくる“ロールキャベツ”は実際に私もよく作る料理で、数回作っていくうちに会得したコツや隠し味なども盛り込みました。もし今後ロールキャベツを作ってみようという方がいたら、レシピにも注目していただきたいです」 ▼鶴田大悟 株式会社徳間書店 文芸編集部 「全員が初めての小説執筆です。皆さんに“絶対大丈夫、書けます!”と言っておきながら、正直不安もありました。しかし、完成した作品は“冷静沈着なアナウンサーがゼロから書いたらこうなるのか!”という驚きと、日本語のプロだからこそ書けた、声に出しても美しい物語の連なりとなっていました。すべての作品に共通する、どこか懐かしさと暖かさを感じる人生のエール。一文芸編集者として、早く読者に届けたい思いでいっぱいです。読後、皆さまの心に小さな灯がともりましたら幸いです」