クラシカルな欧州風高級車、トヨタ「マークII」3代目が98.2万円~デビュー【今日は何の日?12月17日】
■欧州風の優雅なスタリングで高級化した3代目マークII 1976(昭和51)年12月17日、「クラウン」と「コロナ」の中間を狙った「コロナマークII」の3代目がデビュー。人気だった日産自動車の「スカイライン」を意識したスポーティな2代目から一転、3代目は落ち着いた雰囲気の高級車に変貌した。 トヨタ3代目マークIIの詳しい記事を見る アッパーミドルクラスのコロナマークII誕生 初代コロナマークIIは、1968年にコロナとクラウンの中間層を狙って、コロナの最上級モデルとしてフルモデルチェンジの代わりに誕生した。 スタイリングは、コロナを継承しながらボディを一回り拡大して広い室内空間を確保し、4ドアセダンと2ドアハードトップ、ワゴン、5ドアワゴン/バンと多彩なラインナップを用意。パワートレインは、1.6L&1.9L直4 SOHCエンジンの2機種と3速ATおよび4速MTの組み合わせで、駆動方式はFR。グレードごとに細かい差別化が行なわれ、1.6Lモデルは従来のコロナに近いファミリーカー、1.9Lモデルはクラウンに次ぐ高級車として位置付けられた。 マイカーブームが徐々に浸透し、ユーザーの高級化志向に応えたアッパーミドルクラスのコロナマークIIは人気モデルとなり、着実にシェアを伸ばした。 スポーティな上級パーソナルカーとなった2代目 初めてのモデルチェンジを迎えて登場した2代目は、当時人気を獲得していた日産スカイラインを意識して、先代よりも一回り大きく、全高は15mm低くなり、大型化かつスポーティなモデルとなった。 先代同様4ドアセダンと2ドアハードトップが用意されたが、標準グレードのパワートレインは、2.0L直4 SOHCエンジンと4速MTおよびATの組み合わせ。トップグレードには、クラウン用の2.0L直6 SOHCエンジンが搭載され、4気筒搭載車よりもボンネットを50mm延ばし、インテリアも木目調にするなどワンランク上の上質感が魅力だった。 2代目コロナマークIIは、コロナ上級版と位置づけでなく、完全に独立した上級パーソナルカーとして存在感を示した。 高級モデルへと完全脱皮した3代目 3代目コロナマークIIは、スポーティな雰囲気の2代目から一転、欧州風のクラシカルな落ち着いた雰囲気で高級感をアピールした。 丸形ヘッドライトに独立したフロントグリルを持つ上品なフロントフェイス、インテリアもシックでシンプルなデザインで統一。また、フロントサスペンションはマクファーソンストラット式に、リアは5リンク・リジッド式またはトレーリングアーム独立懸架式に変更され、より高級感のある乗り心地が実現されたのも特徴である。 エンジンは、2.0L直4 SOHC&2.0L直6 SOHCエンジンと、新たに2.6L直6 SOHCエンジンを追加。トランスミッションは、4速/5速MTと3側ATが組み合わされた。またこの世代から、マークIIのフラッグシップモデルの「グランデ」が登場した。 車両価格は、標準グレードが98.2万円、デラックスが105万円、トップグレードの2600グランデが191.3万円。当時の大卒初任給は9万円程度(現在は約23万円)だったので、単純計算で現在の価値でそれぞれ約251万円/268万円/489万円に相当する。 3代目コロナマークIIは、コロナのハイグレードから、完全に独立した高級車へと舵を切ったクルマだった。 後継の4代目でハイソカー誕生 3代目コロナマークIIの後を継いだ4代目は、1980年に登場。1980年代に入ると、日本ではモータリゼーションが浸透し、多くの日本人が求めたのは、上流意識を満足させるアッパーミドルクラスの高級車だった。 4代目は、角型ヘッドライトを組み込んだ直線基調のスタイリングに変貌し、特にスタイリッシュなピラードレスハードトップとゴージャスな内装は、若者から中年層まで魅了して大ヒット。後に一世を風靡した“ハイソカーブーム”の火付け役となったのだ。ハイソカーは、単なる高級車ではなく、1980年代後半にバブル景気の後押しで誕生したハードトップスタイルに代表されるスポーティな高級セダンを指す。 代表的なハイソカーは、「チェイサー」と「クレスタ」を含めた「マークII 3兄弟」、2代目「ソアラ(Z30型)」、日産自動車の初代「シーマ(FY31型)」、2代目「レパード(F31型)」、6代目「ローレル(C33型)」などだ。 ・・・・・・・・・・ マークIIの2代目はスポーティ路線、3代目は高級路線を追求し、4代目以降はその2つを融合したスポーティな高級セダンでハイソカーとして大成功した。そう考えると、3代目はハイソカーの布石となる重要な役目を果たしたと言える。 毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかもしれない。
竹村 純