アギーレJが選んだ安定路線
アギーレ監督は就任直後から「4‐3‐3システム」を導入しているが、なかなか実戦で機能していないのが現状だ。しかし、FWに6人を招集した点を見ても、アジアカップ代表メンバーは「4‐3‐3システム」を強く意識した構成になっている。 記者会見で「4‐3‐3システム」を継続するかどうかを問われた指揮官は、こう答えている。 「キーパー以外はさまざまなポジション、さまざまなフォーメーションでプレーできると思う。チームの基本的な形は4‐3‐3だが、このシステムは攻撃時に3‐4‐3に形を変えることもできれば、守備のときには4‐1‐4‐1で守ることもできる。重要なのはシステムではなく、そのシステムにいる選手たちだ」 9月のウルグアイ代表戦で2失点、10月のブラジル代表戦では4失点を喫するなど、年内の6試合でアギーレジャパンは9失点を許している。水沼氏は「失点をどれだけ減らせるか」と大会を勝ち抜く上でのキーポイントを指摘した。 「三冠を達成したガンバ大阪を見てもわかるように、得点力よりも守備力を安定させなければ勝つことは難しいという思いがより強くなった。得点力は前線の選手がもつ個の力がある程度関係してくるけど、守備の堅さは組織力がベースになる。システムで言えば、中盤が最もしっくりするのはザッケローニ監督時代の4‐2‐3‐1で間違いない。ただ、今回選ばれたメンバーは4‐3‐3から4‐2‐3‐1に変えられるメンバーであり、4‐3‐3が上手く機能していないと感じられるメンバーでもある。11月のオーストラリア戦でも選手たちがそれぞれの感覚で4‐3‐3のままだと危ないと察知し、最終的にはアギーレ監督の指示もあって4‐2‐3‐1に変更した結果が勝利につながった。勝ち進めば長い時間を共有できるだけに、チームのコンセプトを浸透させられるチャンスでもある。タイトルのかかる公式戦で真剣勝負を演じることで、ロシア大会へ向けた真のスタートを切ったことを示してほしい」 就任直後からタイトル死守を誓ってきたアジアカップへ。アギーレ監督はこれまでの経験にジョークもまじえながら、事前合宿を含めた期間中にチームが歩む軌跡を思い描いた。 「私は試合の途中でシステムを変えることもある。選手たちがさまざまな形で攻撃ができ、さまざまな形で守備ができるようにしたい。ストーリーはいいサッカーをすること。プレーの内容がどんどんよくなっていくことを望んでいる。ワールドカップ、コパ・アメリカ、そしてゴールドカップでもそうだったが、これまでの私の経験では、先にストーリーを描くと上手くいかないことがある」 選手たちは29日に集合し、首都圏で国内キャンプをスタート。2日にオーストラリアへ向けて出発し、南東部セスノックでの直前キャンプで本番に備える。現地時間4日にはニュージーランドの強豪、オークランド・シティーとの練習試合も組まれている。 (文責・藤江直人/スポーツライター)