【最新試乗記】新型フィアット600eは、なんとなくユーモラス だから楽しいワケとは
快適装備は充実
600eの車名は「セイチェント・イー」と読むそうだ。かつて55年に発表された600がボディデザインのイメージソース。 オリジナルの600は4気筒エンジンをリヤに搭載したコンパクトモデルで、ストロークがたっぷりあるリアサスペンションなど、設計者ダンテ・ジアコーザの自信作だった。アバルトをはじめ、当時イタリアに多くあった零細メーカーは、600の車台とエンジンを使ってスポーツカーを作っていた。 現代の600eは「500eに100個の魅力を追加する」(ステランティス)とされ、衝突被害軽減ブレーキ、アダプティブクルーズコントロールや360度パーキングセンサーといった安全運転支援システム搭載。さらに、7インチのインフォテインメントシステム用ディスプレイ、オートハイビーム、運転席パワーシート、前席シートヒーター、ハンズフリーテールゲート、キーレスエントリーなど、日常的にあって嬉しいものが揃う。 ヘッドランプの上の部分にパネルを設けて、瞼のようにしているのも、面白い。しかもヘッドランプのケース周辺を、強いアイラインで“囲み目メイク”を思わせるブラック系の輪郭線を強調していたり、その下のエアインレット周辺にくぼみを作って唇を思わせたり、遊んだデザインだ。 価格は¥5,850,000。プジョーe-208は¥5,124,000からだが、価格差には理由がある。ホイール外径が18インチになるのは600eのみだし、先述の安全運転支援システムなど装備は、フィアットの方が充実している。ダッシュボードの使い勝手なども、個人的には600eのほうが好ましかった。
文・小川フミオ 写真・安井宏充(Weekend.) 編集・稲垣邦康(GQ)