鹿児島県 世界自然遺産コアエリアで「山地訓練」 希少種消失の指摘も 自然保護団体 徳之島利用部会
【徳之島】2024年度の世界自然遺産地域連絡会議徳之島部会及び同保全活用検討会同島自然利用部会(県主催)が18日、伊仙町役場であった。関係省庁や自治体が地域別行動計画の進捗(ちょく)状況や保護・保全計画の見直し方針なども報告。先の自衛隊と米軍の日米共同統合演習では、世界自然遺産のコア(核心)エリアにも山地訓練(生地訓練)で進入、希少な植物が踏み荒らされ、株ごと消失したことが判明。自然保護団体が証言した。 環境省や林野庁、県、地元3町、自然保護と観光団体など約40人(オンライン含む)が参加した。同島に侵入し生息域を広げている特定外来生物シロアゴガエルの防除対策や、ソテツに寄生する外来種ソテツシロカイガラムシの同島侵入警戒、アマミノクロウサギなどのロードキル(交通死亡)抑止に効果が認められている道路侵入防止柵(ネット)、策定から10年目の生物多様性県戦略の見直し、徳之島3町希少野生動植物の保護に関する条例(昆虫5種・植物26種)の見直し―などの進捗状況もそれぞれ報告。 環境省は「いのちのにぎわい箱庭」をテーマに来月21日にオープン式典を予定している「徳之島世界遺産センター」(徳之島町花徳)の概要についても紹介した。 日米共同統合演習「キーン・ソード25」(先月23~今月1日)で、離島奪還などを想定した「山地訓練」を展開した世界自然遺産エリアは徳之島町の「井之川岳」の山中。NPO法人徳之島虹の会の関係者は「国防と世界自然遺産保護の〝二つの国家プロジェクト〟を徳之島が負わされることに不信感が」とも提起。その上で「過去10年間、一度も開花を確認していない希少種がつぼみをつけていた。写真撮影のタイミングをと毎日観察。しかし訓練の翌日にはなくなっていた」。株ごと踏み荒らされ消失したと見られ、希少種保護に逆行した形の関係機関の「使用許可」の在り方にも疑問符を呈した。関係当局は回答を避けた。