【スーパーラグビー・パシフィック】クルセイダーズ連勝なるか。注目は司令塔のセレクション。FBにはハーフペニー
◆第11節はハヴィリを10番に抜擢 & ウエールズのレジェンドが初登場
今季9試合中まだ2勝しかしていない、昨年の覇者クルセイダーズ。第11節は、レッズとの対戦となる(5月4日)。 5月1日にメンバーが発表された。 その中には、35歳にしてスーパーラグビーデビュー戦となるリー・ハーフペニーの名前があった。ウエールズ代表キャップ101、ブリティッシュ&アイリッシュ・ライオンズでも4つのキャップを持っている。まさにレジェンドだ。 ハーフペニーは、プレシーズンマッチで胸の筋肉を負傷。手術を受けて長期離脱していた。デビュー戦となるレッズ戦では、お馴染みの背番号15を付けて先発出場する。 ウエールズから来たレジェンドに対して、指揮官のロブ・ペニーHCは、「彼はここ数週間、ずっとトレーニングを積んできた。彼は背番号15のジャージーに袖を通す権利がある」と語った。 ハーフペニーの姿は、スタジアムでも時々見かけられていた。前節のキャプテンズラン(4月25日)でもピッチで元気な様子だった。 予定よりも早く回復して今回のデビューになる。経験豊富なハーフペニーが最後尾にいるのは、チームにとって心強いだろう。 ハーフペニー以上にNZメディアを賑わせたのは、司令塔のセレクションだった。ワールドクラスの司令塔、リッチー・モウンガが日本に移籍。モウンガの抜けたポジションに入る予定だったファーガス・バークは、アキレス腱のケガで出遅れた。 数週間前に復帰が予定されていたが、今度はふくらはぎを痛めて復帰は遠のいた。番号10を固定できなかったことも、チームの不調の要因と言える。 司令塔のセレクションで悩む中、先週ケガから復帰したばかりのユーティリティーBK、デイヴィット・ハヴィリを背番号10で先発に抜擢した。 ペニーHCは、シーズン前に、「ハヴィリの10番起用は考えていない」、と発言していた。しかし、今回オールブラックスのHCであるスコット・ロバートソンからの提案があり、ハヴィリが背番号10を付ける事になった。 オールブラックスの12番には、ジョーディー・バレットがいる。オールブラックスにおいても司令塔を誰に任せるのかは不透明だ。ハヴィリにとっては、生き残りをかけた良い機会になる。 ハヴィリの10番での起用は、数年前にNPC(NZ国内選手権)で数試合あった。ただ、そつなくこなしていたものの、スーパーラグビーレベルでの司令塔経験は浅い。 クルセイダーズがプレーオフに残るには、これ以上負けられない状況だ。勢いのあるレッズ相手にハヴィリの司令塔起用がどのようにチームに影響するのか興味深い。 先週はキャプテンのLOスコット・バレットが復帰してチームが引き締まった。低迷しているとは思えないほど強いクルセイダーズを見せてくれた。 セットピースだけでなく、FW全体の出来が素晴らしかった。圧倒したスクラムと同じように、FW第3列の奮闘がチームを勢いに乗せた。6番カレン・グレイス、7番イーサン・ブラッカダー、8番クリスチャン・リオウイリーの3人のバランスも良く、ボールキャリーで前に出ることができた。 先週休養に充てられたFLトム・クリスティーをレッズ戦でメンバーに戻さず、FW第3列のメンバーを据え置いたのも興味深いセレクションだ。 今週もホームのクライストチャーチでの試合になる。 ブルーズを苦しめたレッズだけに勝つのは容易ではないだろう。3月29日のチーフス戦で初勝利した後は勢いに乗れなかった。今回ここで連勝すれば、いよいよエンジン全開となるかもしれない。 今週もクライストチャーチのスタジアムは笑顔でいっぱいになるだろうか。 (文:松尾智規)