専用ホットラインも 熱海市が始める別荘コンシェルジュとは?
全国の自治体で唯一、別荘税を徴収している静岡県熱海市が「別荘コンシェルジュ」という新サービスをスタートさせる。担当するのは入庁2年目の女性職員。果たして別荘コンシェルジュとは何をするのか? その目的は?
閑静な別荘地が点在する熱海市。市街地に建つ高級マンションも別荘として使用されていることが多い。所有者は週末や休暇に熱海を訪れ、思い思いの時間を過ごすのだ。熱海市がこうした別荘の所有者に、別荘等所有税として税金を課すようになったのは昭和51(1976)年からだという。市は別荘所有者に宛てたお知らせの中で別荘に税金を課す理由について次のように説明している。 「本市における別荘等の増加による行政需要の増加に伴い、別荘等をお持ちの皆様に負担いただいております固定資産税・都市計画税・市県民税の均等割額の収入だけでは環境整備等を行うことは非常に困難な状況にあります」 「ご利用になる公共事業の整備等の一部に充てるため、昭和51年度から法定外普通税として『熱海市別荘等所有税条例』を制定し、別荘等所有者の方々へ課税させていただいております」 1平方メートルにつき650円/年の税金を課し、平成27年度の税収は約5.5億円にのぼったという。市は別荘所有者に毎年6月、納付書を送付し、あわせて別荘税のしおりを配布している。 別荘税のしおりはコンパクトな広報誌といった感じで、税収の報告に加え、市の情報が盛り込まれている。市がこのほど別荘所有者にアンケートを実施したところ、熱海市に関する情報がもっと欲しいといった内容の要望が多かったという。例えば、「どこにどんなお店があるのかどこに聞けばわかるの?」とか「外食をするといつも同じ店になってしまう」といった具合だ。
「別荘を所有している方にもっと熱海や伊豆の情報を発信して魅力を知ってもらい、1回でも多く熱海の別荘にきていただきたい」と別荘コンシェルジェ事業を担う観光経済課。 別荘所有者にダイレクトにきめの細かいサービスを行政自らが行うという。まずは8月から別荘所有者専用のメールと電話のホットラインを開設、熱海や伊豆のイベント情報や飲食店情報を個別に提供するほか、相談や意見にもワンストップで対応する。さらに別荘所有者のみ閲覧できる専用ホームページも開設する予定という。 他に取り組みのない熱海市の別荘コンシェルジュ、その専属職員に指名されたのは入庁2年目、熱海っ娘の池田佳世さん。「観光の仕事がしたいと思い熱海市役所に入りました。新しく始まる事業に携われて、不安もありますが期待も大きいです」と話す。 別荘コンシェルジュという前例のない分野を、行政としてどう開拓していくのか?「熱海の別荘を所有している方に熱海の別荘を選んでよかったと思ってもらえるきっかけを作れたら嬉しいですね」と話していた。熱海市の別荘コンシェルジュに関する問い合わせは市観光推進室(電話0557-86-6372)。