巨匠の手で見事に生まれ変わった『レ・ミゼラブル』。「ベルモンド死す」のニュースにショックを受けながらベルモンドのジャン・バルジャンを観た
◆ 1989年に漫画家デビュー、その後、膠原病と闘いながら、作家・歌手・画家としても活動しているさかもと未明さんは、子どもの頃から大の映画好き。古今東西のさまざまな作品について、愛をこめて語りつくします!(写真・イラスト◎筆者) 【写真】漫画でわかる一場面 * * * * * * * ◆ベルモンド死す 「ベルモンド死す」。このニュースを聞いてショックを受けたのは私だけではないだろう。『気狂いピエロ』や『勝手にしやがれ』などのゴダールの映画で主演。「美男ではないのにやたら恰好いい」という俳優のジャンルを作り上げた。 そんなベルモンド追悼特集はタイプの違った作品が揃い、日本未公開作品も含まれる。新たなベルモンドの魅力も発見したいと、個人的にも劇場に行く予定でいた。ところが…。 すいません!! 私、公開日を勘違いしていて。フランスにずっといたせいで感覚が狂ったのか。もう始まってるよ(涙)。でもまだ続くベルモンド特集への懸け橋として、是非ご覧ください。 情報リンクはこちら…
◆レ・ミゼラブル さて、今回はそんな中でも「名作」と呼び名の高い1995年の『レ・ミゼラブル』を鑑賞。泣く子も黙るビクトル・ユーゴーのこの名作は、2012年にはヒュー・ジャックマン主演のミュージカル・ロマンスで大ヒット。1958年のジャン・ギャバン主演の作品は文藝色が濃くて、これもたまらない作品。 そんな作品を巨匠クロード・ルルーシュ監督がどう描き、ベルモンドがどのようにジャン・バルジャンを演じるのか? しかも音楽はミシェル・ルグランで、パトリシア・カースが主題歌を歌う。 「楽しむしかない」と、なんの予備知識もなく試写リンクを開く。が……。 「普通のレミゼと違い過ぎない??」 いや、出だしは自然だった、貧しい男が無実の罪で投獄され、妻子は赤貧にあえぐ。遂に父が獄死して、母は自殺。5歳で両親の死に遭遇した子どもがジャン・バルジャンを思わせるアンリ・フォルタン。アンリの成長後をベルモンドが演じた。しかし原作と違い、アンリはボクサーに。設定も原作よりかなり現代に近い、第1次世界大戦から第2次世界大戦の頃に置き換えられている。 なかなか原作との関係性がつかめなく、かなり見進めてから私は、「これ、レミゼだよね?」と、見ている視聴リンクを巻き戻したほどだ。第一「コゼット」らしき女の子が出てくる様子が微塵もない。
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