芸歴20年の真木よう子、“女優”扱いは「嫌いというか苦手」
小説や漫画に対する深い愛情
“別物”という表現の背景には、真木の原作となる小説や漫画といった芸術作品に対する深いリスクペクトとの気持ちや愛情が垣間見える。 「子供の頃、読書がものすごく好きでした。1日に何冊も読んで、おかげで読解力が身についたのか、国語の成績は良かったんです。今の仕事をはじめてからは、海外でのロケもあったり、移動時間が長い時もあるので、飛行機での移動中に読むことが多いですね。(機内では)よく映画をやっているんですけど、色んな知っている顔が出て来るので、飽き飽きするので(笑) その点、小説は自分だけの世界に浸れるので」 真木といえば、かつて雑誌で漫画家との対談連載を持つなど、大の漫画好きとして知られている。 そこで、「とくに感銘を受けた漫画はある?」と質問をぶつけてみると…。 「『手塚治虫文化賞』を受賞する前から『これはもう素晴らしい漫画だ!』と思ったのは、ほしよりこさんの『逢沢りく』という上下巻の作品です。高校生の女の子の話なんですけど、すごく奥の深い作品で面白かったです。子供の頃からずっと変わらず読んでいるのは、西岸良平先生の『三丁目の夕日』ですね。絵のタッチもそうですし、あの世界観は西岸先生しか作れないと思います。いつも寝る前にかならず読むんですが、睡眠薬のような温かさに包まれながら眠っていけます。あと、やはりすごいと思うのは手塚治虫先生で…」。 矢継ぎ早にさまざまな漫画のタイトルを挙げると、「漫画だと出過ぎちゃうというか、どんどんあふれてきちゃうので」と茶目っ気たっぷりに微笑んだ。
女優も役者も普通の人を演じる人間なだけ
真木はインタビュー中、常に自身のことを“女優”ではなく、“役者”と表現していたのも印象深い。そのことに水を向けると、「特別こだわりとかはないんですけど、みなさん“女優”って聞くと『ハッ!』となるんですよね。女優さんって怖くないですか?」と逆質問。 こちらが一瞬沈黙すると、「私個人としては、『女優さんにそんなことをやらせてはいけない』とか、『女優さんには飲み物を用意する時にストローをつけて、常温でなくてはいけない』とか、そういうのが嫌いというか、苦手で。『そんなんじゃない。普通でいい』って。だって、女優も役者も普通の人を演じる人間なだけなので、何の特別扱いもいらないというのが私の中にはずっとあるんです」と明かす。