芸歴20年の真木よう子、“女優”扱いは「嫌いというか苦手」
人生の半分はまったく違う人間
そんな真木は今年で芸歴20周年を迎えた。 「日本アカデミー賞」の最優秀主演女優賞をはじめ、輝かしいキャリアを誇るが、「とくに意識はしていないです。ただ、あえてそう聞かれると、そんなにやっていたんだなとは思います。考えてみると、20年役者をやっていたということは、人生の半分はまったく違う人間になっていたわけで、それはそれで面白いですよね」と話す。 そして、「最近フリーになって、自分でも本当にやりたい仕事をやっていきたいなと思っています。今回、朗読のお仕事をさせて頂いて、お芝居をしている時とは違う声だけで表現することの楽しさも改めて感じましたし、また声優のお仕事とかもやってみたくなりました。以前に、(アニメ映画の)『BUDDHA2 手塚治虫のブッダ -終わりなき旅-』という作品でルリ王子の声をやらせて頂いて。ルリ王子にとっては辛いお話だったのですが、ものすごくやりがいを感じました。ああいう役もやってみたいし、全然違う活発な男子高校生の役とかもやってみたいですね」と意欲をみせる。 “役者・真木よう子”は、今後も変わることなく自身の信じた道を真っすぐに歩き続けることだろう。 ■真木よう子(まき・ようこ) 1982年10月15日生まれ、千葉県出身。2001年映画デビューし、06年の『ベロニカは死ぬことにした』で映画初主演。同年『ゆれる』で「第30回山路ふみ子映画賞」の新人女優賞受賞する。14年には『さよなら渓谷』で「第37回日本アカデミー賞」の最優秀主演女優賞、『そして父になる』で最優秀助演女優賞をW受賞するなど、数多くの映画やドラマで活躍。今年6月公開の映画『焼肉ドラゴン』では主演を務める。
『ホテルローヤル』 15年に映画化もされた『起終点駅 ターミナル』や今年8月に新刊した『ふたりぐらし』などの作品で知られる桜木氏の手によるもので、13年の「第149回直木賞」の受賞作。 北海道の釧路郊外の小さな町にあるラブホテルを舞台に、ホテルを訪れる人たちの人間模様や悲哀を全7編の物語で表現している。 桜木氏は、真木によるこの日の「朗読」の収録に立ち会ったが、「真木さんは御自身の表現を持っていらっしゃる方なので、すべてお任せしました」と笑顔。 「朗読」を通じて自身の作品が新たに表現されることには、「事情があって文字を読めない方や普段本を読まれない方に、こういう形で自分の書いた物語を届けられるというのは有難い機会だなと思っています」と話す。 同作には、15歳の多感な時期に父親がラブホテルを開業し、部屋の掃除など家業を手伝っていた著者の過去の記憶も作品には反映されていると言われるが、桜木氏は「たぶんラブホテル経営者の娘だったことよりも、15歳で男女の後始末をした経験の方が私にとっては財産です。20歳を過ぎて付き合っている人がいたり、結婚してから見た世界ではなく、15歳の多感な時期に見たのは大きかったですね。ビックリするような、ここでは言えない話もたくさんあるので」と明かす。 そのうえで、「あの作品を書いた時、自分が見てきた世界を全部フィクションとして、自分が作ったお話にできたことで、この先もう少し書き手としてやっていけるかなと思った手応えのある一冊でしたね」と同作への思いを語る。 その作品の大半は出生地であり、現在も生活を送っている北海道を舞台にしているが、桜木氏は「ずっと釧路で生まれ育って、人生の半分以上を過ごしているので。これからも北海道で、マイペースで急がず焦らずやっていきたいと思います」と変わらぬ深い郷土愛をにじませつつ今後の執筆活動に意欲を見せた。 ■桜木紫乃(さくらぎ・しの) 1965年4月19日生まれ、北海道出身。文芸誌「北海文学」の同人として活動し、02年に『雪虫』で「第82回オール讀物新人賞」を受賞、07年に『氷平線』で単行本デビューを果たす。12年刊行の『起終点駅 ターミナル』は佐藤浩市主演で映画化され、13年刊行の『ホテルローヤル』で「第149回直木賞」を受賞。「金澤伊代」名義で詩人としても活動しており、詩集も刊行している。今年8月に『ふたりぐらし』を刊行した。 ◇Audible(オーディブル)では著名な作家の作品やビジネス書など豊富なジャンル、タイトルをプロのナレーター・俳優たちの朗読による音声コンテンツや音楽以外のここでしか聴けない音声コンテンツをアプリやPCサイトから楽しめる。