二転三転する物語にラストカットまで目が離せない、内田英治監督によるオリジナルの新感覚サスペンス・スリラー「マッチング」
重要なネタバレも明かされているメイキングなど充実の特典映像
9月20日(金)にリリースされたBlu-rayとDVDの豪華版には、本編ディスク以外に2枚の映像特典ディスクと、限定封入特典(特製ブックレット、ミニクリアファイル、ポストカード)がセットになっている。2枚の映像特典ディスクには、土屋×佐久間×金子×内田監督によるビジュアルコメンタリーに加え、メイキングや舞台挨拶などのイベント映像集を収録。作品によっては、映像特典ディスクはすべてDVDという場合もあるが、本作の豪華版は、映像特典ディスクもBlu-ray。映像特典までも高画質で楽しめるのは、購入者にとって嬉しいポイントだろう。 約60分のメイキングでは、撮影現場の様子や内田監督の演出風景、キャスト陣の現場コメントやオフショットなどを見ることができる。内田監督はキャスト陣と意見交換したり、コミュニケーションをとりながら演出しており、例えば、刑事(真飛聖)が吐夢(佐久間)の仕事場に話を聞きに来た際は、内田監督が「もうちょい八百屋っぽく」と真飛に演出。真飛は、元々ちょっとユルめの庶民っぽい刑事をオーダーされていたそうだが、「八百屋っぽく」という追加の難題に「もっと八百屋……」とつぶやきながら苦笑い。その場にいた佐久間が「八百屋?(笑)」と何度もツッコみ、内田監督が「もっと雑な感じ」とにこやかに補足すると、真飛もようやくニュアンスが掴めたようだ。気さくで明るく良い空気感の中で撮影されていた様子がわかる。 待ち時間などに、土屋と佐久間がメイキングのカメラに向かってサービスする様子やおどける様子も収められており、ヘビーな展開や恐ろしいことが起きる作品内容とは真逆の明るく楽しい現場だったことが伝わってくる。また、本編より先にメイキングを見る人は少ないと思うが、このメイキングにはかなりのネタバレもあるので、必ず本編鑑賞後に見て欲しい。本編冒頭の描写が誰なのかなど、劇中ではあえて明確にしていなかった、結末の解釈にも関わるような重要なことをサラリと明かしているところもある。本編自体が、結末を知った後に見直すと初見とは違った見方ができる面白さがあるが、映像特典を見た後に見直しても、また新たな発見ができる作品だ。 文=天本伸一郎 制作=キネマ旬報社
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